お題

□無意識に意識してしまう
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仕事中、小腹が空いたのでおやつでも食べようと机の中を漁っていたら一つのお菓子を発見した。


「…あー、買ったの忘れてた」


確認すると賞味期限は三ヶ月前のもの。
うーん……、どうしよう。
このタイプのお菓子ならイケると思うんだけど、そこまでして食べるほど好きじゃない。
でも高いやつだから捨てるのもちょっとな…。
そう思い室内を見回す。

あ、いるじゃんこれ好きな人。

お菓子を片手にその人物へと近付く。


「雄二郎ー」

「なまえ、なに?」

「お腹空かない?これ好きでしょ?あげるー」


笑顔で渡せば何の疑いもせずに受け取り、食べ始める雄二郎。


「おいしい?」

「うん。やっぱこれ美味いよなー」

「湿気てない?変な味しない?」

「大丈夫……ってなんでそんなこと聞くんだよ」

「え、いやー…えへ」


あやしいと思ったのか箱を確認し出す。


「あー!これ賞味期限すげー切れてんじゃん!」

「えへへ、バレた?」


言いながらお菓子を一つもらう。
意外と気付くの早かったな。


「あ、ホント。大丈夫大丈夫」

「俺のだぞ!」

「いいじゃん、私が買ったんだし」


2人であはは、と笑い合っていたらどこからか「お前ら付き合ってんのか?」と声が聞こえた。


「「付き合ってません」」


同時に答えて顔を見合せ、


「ないよなー」

「ないでしょ」


またハモってしまい、それがおかしくてまた2人で笑い出す。

雄二郎とこうしてるのは本当に楽しい。
彼もそうだといいなと思ってから、なんでそんなことを思ったのか不思議になった。



無意識に意識してしまう





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