おおかみこどもの雨と雪小説
□「…おかえりなさい」
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雨が生まれてすぐ、彼が買ってきてくれたであろう食材がドアの前に置いてあった。
また、雪の時みたいにキジを狩りに行ったのだと思ったが、それにしては帰りが遅い。
心配になり、探しに出る事にした。
雨も強くなり、時間が経つにつれて不安が膨れる。
「何処なの……」
ポツリと呟くと、周りの人の声が耳に入った。
「ねぇ、そこの川で狼が溺れてるんですって」
「え、狼!?」
「そう。保健所の人たちが助けようとしてるんだけど、噛み付こうとするみたいで、助けられないんだって」
「あの!!それって、何処ですか!?」
狼って……。
まさか………。
その人たちに場所を聞き、慌てて向かう。
溺れていたのは、彼だった。
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