おおかみこどもの雨と雪小説
□「…おかえりなさい」
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近くで見ていた人に雨と雪を預けて、川に入る。
保健所の人に止められたが、私が助けなきゃ――――
暴れてる彼に少しずつ近づく。
「大丈夫、大丈夫だよ……。落ち着いて、こっちに来て……?」
少し大人しくなり、腕に素直に収まる。
冷たい……。
少しだが、息もしていた。
彼を抱きかかえ、川から上がるが、保健所の人になんか、渡さない。
「この子は狼なんかじゃありません。家で飼ってる犬です。狼と犬の間に生まれた子です。探していたので、見つかってよかったです」
嘘を吐いて、彼を家へ連れて帰った。
溺れてから、何時間も経っていたのか、身体が冷えていた。
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