絆の華

□変化
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「元から貌虚の数は少ないですのよ?

そんなにたくさん出たら色々と面倒ですわ。」



「・・・前に任務が無い時期が続いた後に

一気に出現した時もあった筈ですよね?」



詩織はどこか投げやりな溜め息をつき、

伊織は少しだけ不安そうに答えた。



「・・・零が動かないと言う事実は、

間違えようもない平和の証だな。」



紗羅は黙々と白米を口に運びながら

少しだけ自嘲気味に呟く。



「・・・・・隊長?」



空いた食器を水場へ運ぶ為に一番近くにいた楓が

紗羅の微妙な表情の変化に気づき、

不安そうに紗羅の顔を覗き込む。



「いや・・・・・何でもない。」



紗羅は自分の顔を覗き込んできた

楓から視線を逸らして、静かに居間を見渡す。



普段から一番の大食家である詩織以外の

隊員達はほとんど食べ終わったようだ。



紗羅が鍛錬場に戻ろうと斬魂刀を持ち上げると、

激しい足音の後、襖がいきなり大きな音を立てて開いた。



「・・・・・・襖は静かに開けろ。」



「あ・・・すいません。」



居間に飛び込んで来たのは、

寝癖のあるくすんだ色の金髪に

空色の瞳を持つ青年だった。



零番隊・第三席の小野瀬 白斗(オノセ ハクト)だ。



焦った様子の白斗は騒がしい音を立たことで

迷惑をかけた紗羅に一言侘びを入れてから

覇気のある口調で用件を伝える。



「じゃなくて・・・大変なんスよ!!!!

零番隊に緊急招集が掛ったんっス!!」



「「「「「「!!!?」」」」」」



その言葉は重苦しく居間に響き渡り、

皆の間には一瞬で緊迫した空気が走った。




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