game book−オリジナル

□動物の恩返し

「確かベッドの上だったと思う」
 記憶の糸をたぐりよせてしっかりとそう答えた。昨晩ベッドの上で借りた物を見ていたのである。
「ほんまにそこやな?違うてももう一回は無理やで?」
「うん、わかってる」
 念を押されて少々不安は感じたが君はしっかりとそう答えた。子どもの姿をした狸はそれを見ると目を閉じて意識を集中し、呪文を唱え始めた。しばらくすると君の目の前に光の玉が現れ、次第に大きくなっていく。小窓くらいの大きさになるとその中に見慣れた風景が映った。
「今から五秒間や」
 子どもの姿をした狸の声が響く。君が小窓をのぞきこむと…目の前から少し離れていたけど、手を伸ばせば届くところに目的の物があった。素早く手を伸ばして目的の物を取る。
「よし!!」
 思わずガッツポーズをしてしまった。
「ちゃんと目的の物は取れたようやな」
 横から声が聞こえてハッと我に返り、背筋を伸ばしてコホンと一つ咳払いをする。
「ありがとう。おかげで助かったよ」
 すると子どもの姿をした狸はうれしそうににっこり笑った。
 こうして君は忘れ物を手に入れ、予定どおり友人と会うことができたのだった。





【グッドエンド】
次へ


[表紙へ戻る]

ゲームブックを検索



©フォレストページ