あなたがいるから…
□6、たまたまA
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「はぁぁあー。」
さっきのCDショップのあとに寄ったファミレスで、俺は大きいため息を吐いた。
「……。謙也、俺目の前にしてため息吐くなや。」
「だってー、あいつ何かわからんのやもん。」
「財前だっけ?ええやん、別に。忘れろ。気にし過ぎやねん。」
気にし過ぎかー、
見た目からして気になるやん、忘れられる訳ないわ。
「しかもさ、あいつまだ中1やぞ?ピアスちゃらちゃらつけとるやん。しかもリストバンドて、制服姿でもつけるもんなん?しかも2つ。あいつなんかありそうやん。」
俺は息継ぎもせず、一気に話した。
「しかもしかもうっさいわ。でも確かにピアスの数、尋常じゃないわな。初めて見たとき、もろ見てしもたわ。」
「やろ?小学生からピアスて、穴あけただけで泣いてまうやん。100%不良やわ!」
「そやねー、中2で髪染めてるお前には説得力ないけどな。」
まあ、そうですよねー。
「しかもな、あいつ肩叩いただけでめっちゃビクーっとしてたんよ。白石が男に痴漢されてた時並みにビビっとったわ。」
「うるせー、思い出させんな。殺すぞ。」
白石は美形だからホモじゃない親父からにもよく痴漢され、モテている。
嬉しくないけどな。
「CDショップでもなんか嫌なもん思い出してるみたいな感じやったし。」
「そうやった?まあ、怒鳴られたけど…。てか、あんま気にしない方がええんちゃう?ハゲるぞ、いい加減。」
ハゲる言われても、
まあ、確かに会ったばっかでこんなに気にし過ぎなんのもおかしいな。
急展開にもほどがあるし。
「せやなっ。もう会わへんかもしんないし。忘れるわ!」
「おう、じゃハンバーグでも食って帰るか!」
「そうやね。考えすぎて腹減ったわ!」
そう言って、俺らはでかいハンバーグを食べ、家へと帰っていった。
でも知りたい。
あいつは何をビビってんのか、
なぜ一人でいるのか、
なぜ中1なのにピアスだのなんなのつけているのか、
(特に理由ないか。)
あなたを知りたい。