あなたがいるから…
□1、入学式
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四天宝寺中 入学式。
桜のピンクがグランドを包んでいて、近くの公園からは子供達がはしゃいでいる声が聞こえてくる。
俺は通っていた小学校から離れた、隣町の中学校へ入学した。
家から歩いて1時間くらいのこの学校は公立であるため、周りの奴らは小学校の延長みたいなものなんだろう。
だけど俺は離れた中学校へ来たから、同じ小学校の奴らはいない。
他の奴らは友達とグループを作ってクラス表を見ていた。
クラス表はずらーっと貼られていた。
(何組まであるんねん、この学校は。)
俺はそう思いながら、自分のクラスへと足を運んでいった。
教室の中は知らない奴らばかりだ。
俺は席で一人静かに座っていた。が、誰も話かけには来なかった。
自分でもだいたい予想はついていた。
なぜなら俺は右耳に2つ、左耳に3つピアスを、キラキラ輝かせながらつけていたし、左手には2つも緑色のリストバンドをつけている。
周りからはどう見ても不良にしか見えないだろう。
だけど俺は誰とも仲良くなろうと思わなかった。
というよりなりたくなかった。