斎藤

□冬の端っこ
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「おめでとうございます」
その言葉は今日だけふたつの意味を持つものになる。なんて言うのは心の中でだけ。新年を祝う言葉と、誕生を祝う言葉。昨年、同じ挨拶を2回してみたら「まとめてくれ」と言われた。その時のはじめさんは、いつもより早口で無表情で。耳が僅かに赤かった。何より、"自分のこと"を受けとってくれたことが嬉しかった。はじめさんが自分自身に少しでも関心をもってくれたことが、一緒に新しい年が向かえられたことが、本当に。
「後で、近くの神社にでも行くか」
暖かい、冬。北の地の冬では珍しい気候。雪も止んでいる。厚い雲からは微かに光が注していた。
「はい!」
返事に迷うことは無かった。笑える今日が愛おしい。笑う貴方が、愛おしい。あ、お椀が暖かい。両手で包んだそれはじんわりと冷たい指に熱を与えてくれる。
「おめでとうございます、はじめさん」
「…まとめてくれと、言った」
「言いたくなったんです」
「…」
はじめさんが困ってる。目を逸らして雑煮を黙々と食べている。それでも、照れているのは隠せていない。
(耳、赤くなってる。)
また、見たいかも。なんて絶対に言えないから、来年の楽しみにしておこう。今年も、良い年になりそうです。これから巡るものを知らせるように、季節外れの鳥が鳴いた。





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あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。そして斎藤さん、誕生日おめでとうございます(^O^)/


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