藤堂

□ゆげと強風
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つけっぱなし状態のテレビは年末の特集番組をながし続けてる。ご苦労様。年の瀬くらいゆっくりしろよって思うあたりオレは親切なのかもしれない。そう自負してみたり。うっわマジでくだらねえし恥ずかしいからやめよ。なんだこれ。

ゆげがもうもうとたってる蕎麦はうまい。やっぱ寒い日はあったかいものに限るよなぁ。

「平助くんおかわりいるでしょ?」
「うん。頼む」

最近のオレはこたつに入りっぱなし。もうここに住もうかな。こたつ万歳。

「あぁーオレこたつと結婚するわ」
「ふぅん…」
「嘘です冗談ですごめんなさい」
「はい、おかわりは」
「…お願いします」

千鶴がちょっと怒ってる。頬膨らましちゃってそっぽ向いてる。なんか嬉しいかもしんない。千鶴可愛いすぎるって、改めてじんわり感動。ああ、大晦日最高!蕎麦うまいし千鶴可愛いし。いや、可愛いのはエブリディなんだけどさ。

「どーぞ」
「さんきゅ」
「課題やってる?」
「いきなりなんだよ」
「課題」
「…ぼち、ぼち」
「やってないんだ」
「だ、大丈夫だって!」
「去年も言ってた」
「いや、あれは、」
「怒られてた」
「…やります」
「約束、」

千鶴さん、ちょっと怖いです。どうしちゃったの年末なのに。って関係ねえか。小指を出されて指切りげんまん。満足そうな千鶴の笑顔。どうやら逃げ道は無いらしい。やべっ泣きそう。

ゆげ、さっきより多い。

こりゃ外に出たらさっきからビュウビュウ窓を殴っている風に殺されそうだな。誘拐されてながされてってどっかに消えて行くんだ。オレが寒いから出してやらねえけど。

ずずずっと蕎麦をすする。うん、やっぱあったかいしうまい。千鶴もやっとで食べだした。ご苦労様。

明日は風がやんでるといいな。だって初詣行くのに強風とかやってらんねえし。


「来年もよろしくね」
「こちらこそよろしく」

挨拶もそこそこにテレビを見る。蕎麦まだあるかな。

ゆげはまだ立ち上ってる。風も、やまない。

「強風注意報解除されてるみたいだね」

明日の天気は晴れらしい。




091231

今年はありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。



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