斎藤

□覗き込む
1ページ/1ページ

ちょこっと注意



「冬ですね」

寒そうに両手を擦り合わせながら白い息をかける千鶴にそうだなと頷いた。
もうすぐ今年も終わるなと千鶴に言えばクリスマスや正月といったお楽しみ行事がありますよと笑った。
道行く人を見れば何かと忙しそうに早歩き気味に見える。師走の候とは先人も上手いことを言ったものだと感心する。隣に並ぶ千鶴は相変わらず寒そうだ。

「もう少しスカートを長くしたらどうだ」
「短いですか?」
「見ていて寒い」

夏などは涼しくて良いのだろうがその分、やはり冬は寒そうに思えて仕方ない。
白い町並みに負けず劣らず白い肌をしている千鶴を見る。寒くて涙目になっていて濡れている睫がぱちぱちと何度か瞬いた。
変態じみた考えのようだなと自重しようとも思ったがどうやら俺もただの男のようだ。

「千鶴」
「はい」
「欲情した」
「…えっ?」

その後に千鶴にだけ届く声で囁けばみるみる千鶴の顔は赤くなっていった。触れると感覚の鈍い手にじんわりと熱が伝わってきた。立ち止まった千鶴の顔を覗き込めば目があっちこっちへと泳いでいる。

「あの、えっと…?」
「嫌か?」
「…いや…じゃない、です…」
「そうか」

震える手で弱く握られた袖すらも愛しいとは。ああ、早く帰らないといけないな。

こんな寒い日にはふたりで居るのが一番だ。

たまには欲に素直になってみるのも悪くはないな、と思うことにしておいた。






091213
もしもし

斎藤さんが千鶴ちゃんのスカートに欲情したらいいなって思…って、あれ?斎藤さん風紀委員じゃないか?てか淡々としすぎちゃいましたね。書くならもっと激しくすればよか(終了)


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ