NOVEL

□Mr. Clumsy
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「夢、みてたのか」
「…わからないんです…覚えてなくて」
「……」
「だけど何だか…暗くて悲しい夢…」

あぁ…まただ。
「僕はいつも神田に助けてもらってばっかりですね…」
今日だって僕は…


「…なことねぇよ…」


「…え?」
「テメェはいつも何にも話さねぇだろうが」
「…けど」


神田は僕の言葉をさえぎり自分の胸に僕のおでこを押しつけるようにして抱きしめた。


「わからねぇんだよ、言われなきゃ」


なのに…だけど、神田はいつも僕を救ってくれる…


「…慰めることもできん」
「……」
「俺も辛い」


神田の心臓の音が聞こえる。
それはとても心地よくて…そしてとても、苦しい。



「わかってやりてぇのに俺にはわかんねーから…」
「……」
「…別に話す気がねぇならいい…無理するな」


頭を撫でてくれる手が少しぎこちない。
嗚咽が出そうになる…泣いちゃいけない…。


「すみません…」
「違う、だろ…?」
「少し待って下さい…まだ余裕がないんです。それに僕は…」
「……?」


「…なんでもありませんよ。神田こそ!何かあったら僕に言って下さいね?」


精一杯の笑顔で神田の胸から顔をあげると、神田は綺麗な顔をすこし歪めた。




「……あぁ…」




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