NOVEL
□Mr. Clumsy
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Hey Mr.Clumsy...
君はまたそうやって自分の傷を隠すのかな…
「ん…」
暗い…
ここは…どこ…?
…夢…?
自分自身も見えないほど暗く、黒く、深く広がる闇の世界。
そこで僕は手をのばして何かを探している。
いくら探しても、見つからない何かを…。
なぜ僕は…
広がる闇は夜の海のように僕を包んでさらっていく。
落ちる…
沈んでいく…
突然胃が浮くような感覚。
けれど浮かんでくるのは恐怖じゃない何か…胸が締め付けられるような、息ができないほどの何か悲しいもの…。
「ィ…」
誰かの声がする…すごく遠くで。
今はもう落ちているのか浮いているのか、地上にいるのかさえわからない。
ただ今の僕は声のする方向に向って手を伸ばすことしかできないんだ…。
冷たい…
暗い…
『…う』
「ィ…オ…!起…ろ!!」
誰、ですか?
『呪うぞアレン!!!』
…マ…ナ?
『アレン…』
…マナ!!!
『壊してくれ』
「…モヤシ!!!!」
急にはっきりした声。
薄く開けた目に入ってきた光が目を眩ませた。
「あれ…か…んだ…?」
「…お前…」
「どうしたんですか…?」
「なんで…泣いてる?」
「…え…」
そう言われて目元を指でなぞると涙が指先をうっすらと濡らした。
「ほんとだ…」
というか…なんで神田がここに…?
僕の部屋なのに…。
「部屋の前通りかかったらお前が魘されてんの聞こえたから」
…うなされてたんだ…
ってあれ…?僕いま口に出して…
「顔に出てんだよ」
……そっか
なぜかにやけてしまう顔。
「…んだよ」
神田にはお見通しなのかな。
ぼーっとする頭でそんなことを考えていると隣から盛大な溜息が聞こえた。
「部屋入ったら泣き始めるから起こしたっつーのに…」
「…?」
「心配して損した」
心配…してくれてたんですね…
「ありがとうございます//」
「……」
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