Main-T【短編小説】

□貴方だけ
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この子が私のものに
なればいいのに…。


ふっと心の中でそんな事を
思った自分に嫌気がさす。



普通なら親友に
好きな人が出来たら
素直に喜べるはずなのに
それが私には出来なかった。



私と雪穂は
昔から仲が良かった。


二人とも
隠し事などしなかった。


けれど、私は一つだけ
雪穂に隠している事がある。



私は雪穂が好き。



好きで堪らない。




雪穂も私の事が好きだ。
それは「親友」として。


私は…一人の女性として
雪穂の事が好き。


けれど、雪穂には分からない。

私がどれだけ貴方の事が
大好きなのかだなんて。


「その人ね、
とても優しい人なのよ。」



「毎日メールしてるの。
すごく面白い人なんだ。」


「昨日は一緒に帰ったの。」



やめてよ…
その人の話はもうやめて。


口を開ければ
その人の事ばかり。


貴方は私を苦しめたいの?




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