猛々しい薔薇を

□苦、時々酸味
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そして教室から出て。

初日からやってしまったと反省しながらとぼとぼと廊下を一人で歩いていると、廊下を忙しげに走る生徒達が次々に肩を叩いてきた。




「いようっ、りんだ先生!!」



とか勝手なことを言いながら、その生徒達は走り去っていった。

もしかしたら、僕もあんな感じの高校生だったんだろうか。

いやいやちょっと待て!!先生に対してあんな馴れ馴れしい態度をとったことはないはずだぞ僕は。



け、敬語できちんとした言葉で失礼のない態度でだなぁ!?





「……うわ、あんた生徒に対してそんなお高い理想なんか持ってんのか?初日から疲れちまうぞ?」




……い、いつのまに隣にいたんだろうか。黒髪で背の高めの生徒が僕の横にならんで立っていた。



髪の毛の色には安堵したけど、この生徒は貴金属類が多いのか。それでため息をひとつつく。




「なんだよ。ため息なんかついて。俺が隣にいると迷惑なわけ?」




とため息が不満だったらしく、ずずぃっと僕に顔を近づかせる生徒。僕は慌てながら首を振った。



「ち、違う違う!!き、君に対してじゃないよ。今のはね!!」




「……ふーん、じゃぁ今のため息は、俺についているピアス兼ネックレスに対してのってわけね?」




この生徒の鋭い突っ込みに、流石に僕は何も言えなかった。


図星だったからだ。しかもど真ん中ストライク並のである。




「……初日からそれじゃ、3週間も無理だぜ。しかもむさ苦しい男子校だもんよ。何事も気楽にいこうぜ?俺は吉田直樹っていうんだ。あと3週間、よろしくな!!」




と明るく笑ってから生徒、吉田君は元気に走り去っていった。




僕は、なんだかこの学校にいるのがとても楽しくなりそうだったので、ふぅと息をついた。




その数秒後には、吉田君の名前を叫びながら廊下を死に物狂いで走っていった教師が見えたけど、僕は早速それを記憶から抹消した。







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