女々しい百合を

□科学を壊す女
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「あら?どこに行くの榊原さん」






と佐藤さんは私に質問する。名前思いっきり間違えてくれました。




逆に悲しいわそんなもん!!榊ってそんなに難しい名前ですか!?





「はぁ……榊。ですよ榊。帰るんだよ私の家に。……おわかり?」



と振り向けば、輝く佐藤さんの瞳。綺麗なんて思わない。綺麗と思う前に髪の毛がやけに気になる。




バサバサです。貞子か?貞子か?





「あらま、榊さん。ごめんなさいね。家に帰る……?……貴方の家は、どこにあるのかしら!?」



と聞いてくるので、私は答えそうになった口を慌ててふさいだ。


あ、危ない。危なすぎるだろう。



この佐藤さんとやらは、私の家に来る気だ。確実に来る気満々だ。







……来られてたまるかっての!!






私は、一目散に駆けていった。






これでも私は足は速い方なのだ。はははは!!追い付けるなら追い付いてみろってんだ佐藤さん!!








「……げっ!?マジかッ!?」



笑いながら後ろを見ると、私の笑顔は恐怖に変わり果てた。




「榊さーん……案内してくれるのは嬉しいけど、速いですよ!!」



とかなんとか言いながら、滅茶苦茶なスピードで走ってきている。



なるほど……。コイツはどこにでもいるような佐藤さんじゃない。




「……あれ?某鬼ごっこって佐藤さんが狙われてたんだっけ!?」



よし、これでようやく合点できた。あの佐藤さんは、捕まらないために努力を積み重ねたのだ。


じゃないと、こんな滅茶苦茶な速さの走りは生まれることはない。






意を決して、私は立ち止まった。




するとそこに突っ込んでくる車は急に止まれない状態の佐藤さん。




「そおぉおぉいッ!?」




と、奇妙な声で吹き飛んだ私。


ぶつかったくせに佐藤さんは慣性の法則を全く無視して静止した。


ぶつけられ損すぎやしないか。


まさか、ぶつかったのワザトか?

つか、まじか。来る気か?




「佐藤さん……うち、来る気?」




「……えぇ。だから案内してくれているんですよね、榊原さん?」




……コイツ、わざとなのか?




「榊だってぇのよこの野郎!!」



なんなのこいつ殴ってやりたい。





「この野郎じゃなくて佐藤です」




あ、もう殴りたくてたまらない。










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