女々しい百合を
□科学を壊す女
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ねぇ、オカルトって興味ある?
私の目の前に現れた女は、いきなり現れ意味不明な言葉を吐いた。
「いや、興味あるわけないし。あと、おたくの名前知らないし?」
名前も知らない、よくドラマ等でよく見る謎の女みたいな感じだ。
こういう感じで現れる謎の奴は、大抵死ぬか犯人だったりもする。
まあ、それもドラマの話。特に二時間ドラマにはよくある話だ。
黒い髪をだらりと伸ばした女は、私を見るなりニヤニヤしている。
「……なにこの人やばくない?」
正直、気味が悪くて仕方ない。名前を聞かれてニヤニヤするとは、どこかがヤバイんじゃないか?
「あぁ、私は、佐藤です。どう呼んでくれても構わないですよ?」
下の名前は?と聞こうとしたんだけど、やめた。これじゃ話しに食いついているように見えるし、そこまで名前は気にならないし。
「あー、私は榊っていうんだよ。とりあえずよろしくね佐藤さん」
名前でも何でも、言ってやる。
とは思ったが、名前は言わない。
この佐藤とか言う人も、私がオカルトなんかに興味がないことは気づいてるでしょう。わたしゃとっとと家に帰って眠りたいんだよ。
すると、佐藤さんは近づいてきて、私の肩を思いきり叩いてきた。
割かし強めだったため体を引く。
「いてっ!?」
思わず怯む。そして肩を擦る。
いや、フツーに痛いんですけど。
「貴方が今の一発を痛いと感じたら、貴方は今、危険なのよ!!」
って、そんなに目を輝かせて言う台詞なのかコレは。つまり痛みに鈍い奴は、危険じゃないのか。
痛みに鈍い奴こそ危険だろう。
「いやいや、フツーに痛いんですけどね。生憎痛覚は鈍くないし」
と話して、というかこっちが一方的に話して椅子から立ち上がる。
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