銀魂

□第7訓
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蘇芳は完全に会場の空気に怯えて銀時の後ろに隠れながら周りを見回す。
「こう言う所初めて来たけど…予想以上だ」
「あぁ、ほとんど宗教染みてやがるな」
「何か空気があつくてくさい気がする」
その時、3人の目に見知った顔が映った。
「もっと大きい声で!!」
その男は普段と違い、凛々しい顔で青い羽織袴に身を包んだ集団の最前列に立ち、檄を飛ばしていた。
オイ、そこ何ボケッとしてんだ!声張れェェ!!
「すんません、隊長ォォ!!」
隊長と呼ばれた男。
そう、男の名は。
「新八、お前。いつから隊長になった訳?」
俺は生まれた時からお通ちゃんの親衛隊長だァァ!!
「…へぇ」
「って…ギャアアアア!!蘇芳さんに銀さん!?何でこんな所に!?」
こっちが聞きたいわ
銀時が冷めた目で新八を見る。
「てめー、こんな軟弱なもんに傾倒してやがったとは。てめーの姉ちゃんに何て謝ればいいんだ」
すると新八は、普段しない鬼の様な形相をした。
「僕が何しようと勝手だろ!!ガキじゃねーんだよ!!」
「新八じゃない。こんなにキャラが立った人新八じゃない!!」
「蘇芳さん何気に失礼ですね!!」
「ちょっと、其処のアナタ達」
蘇芳が新八を弄っていると、女性が声を掛けてきた。
銀時と蘇芳が見ると、其処には肩より少し上で切り揃えた髪の、眼鏡の女性が立っていた。
「ライブ中にフラフラ歩かないで下さい。他のお客様の御迷惑になります」
女性がそう言うと、新八が前に出る。
「スンマセン、マネージャーさん。俺が締め出しとくんで」
「あぁ、親衛隊の方?お願いするわ」
その言葉で蘇芳はこの女性が、今舞台で歌っているお通のマネージャーである事を把握した。
「今日はあの娘の初ライブなんだから、必ず成功させなくては…」
マネージャーは眼鏡をクイッと上げ、自分に言い聞かせる様に呟いた。
そして、客席を見回した時、ある男の存在に気付いた。
その男は、誰よりも大きな声援を送り、この空間でもある意味目立っていた。
そう、神楽と蘇芳を人質に取って脱獄し、此処までやって来た白髪の男である。
「………!!アナタ…?」
その声に男は振り向き、目を見開く。
2人の間の時間が、止まった気がした。
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