銀魂
□第7訓
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「みなさーん!今日は、お通のライブに来てくれて、ありがとうきびウンコ!」
「とうきびウンコォォォ!!」
蘇芳と銀時は唖然としていた。
何に唖然としていたか。
それは、会場の野郎共が舞台上のアイドルに向ける熱気、宗教染みた雰囲気、野郎共のちょっとした(?)体臭。
そのどれもにだった。
「…やだ、銀時。何か怖い」
「安心しろ、俺もだ」
攘夷戦争の死線を生き残ってきた2人を怯えさせるこの空気は、恐ろしいものがある。
「今日はみんな、浮世の事なんて忘れて楽しんでいってネクロマンサー!!」
「ネクロマンサー!!」
「じゃあ1曲目!『お前の母ちゃん何人?』!!」
お前〜それでも人間〜かぁ、お前の母ちゃん何〜人だぁ〜…と軽快な音楽に乗せて、あまり公共の電波には乗せられない歌が流れてくる。
…可愛いし、歌上手いのに、多分普通のテレビ番組には出られないな。この曲作ったプロデューサーに付いてる限り、きっと。
蘇芳がそう思っていると、銀時が白髪男に問い掛けた。
「…何だよ、コレ」
「今人気沸騰中のアイドル、寺門通ちゃんの初ライブだ」
即答した男の脳天に銀時の踵落としが炸裂する。
「てめェェェ、人生を何だと思ってんだ!!」
銀時が説教モードに突入する。
「アイドル如きの為に脱獄だ?一時の享楽の為に人生棒に振るつもりか。そんなんだからブタ箱にぶち込まれんだ、バカヤロー」
「一瞬で人生を棒に振った俺だからこそ、人生には見落としてならない大事な一瞬がある事を知ってるのさ。さぁ、楽しもう!!L・O・V・E・お・つ・う!!LO・V・E…」
一見いい事を言ってる様に見えたが、すぐにマトモな仮面が剥がれて何か駄目なアイドルヲタクの顔が出てきた。
誰よりも大きな声でアイドルに向かって声援を送り始めた。
「…やってらんねェ、帰るぞ。蘇芳、神楽」
「うん」
「え〜、もうちょっと見たいんきんたむし」
「影響されてんじゃねェェェ!!」