銀魂

□第7訓
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警察署に着くと、もう既に銀時達は出てきており、門の前に立っていた。
「ごめん、銀、新八、神楽。遅れた」
「今出てきたばっかだから気にすんなよ。…それより」
銀時は思いっきり警察署の門に架けられた看板を蹴った。
「命張って爆弾処理してやったってのによォ、3日間も取り調べなんざしやがって。腐れポリ公」
「もういいじゃないですか。テロリストの嫌疑も晴れた事だし」
「どーもスッキリしねェ。ションベンかけていこう
「おう、なら俺は唾吐き捨ててやるよ
「よっしゃ、私ゲロ吐いちゃるよ
器の小さいテロすんじゃねェェ!!
3人が小規模テロを起こそうとするのを見て、新八は思わず絶叫する。
「アンタ等に構ってたら何回捕まってもキリないよ!!僕先に帰ります!!いゃんと真っ直ぐ家帰れよ、バカトリオ!!」
「アレ?そのバカトリオって俺も入ってる?」
「って言うか、オイオイ、ツッコミいなかったらこの小説成立しねーぞ。こうなったら蘇芳、確かお前ツッコミ属性だろ。任せた」
「ヤだよ、ボケてる方が楽しいんだもん。時々ツッコミしたげるから、銀、頑張って」
「…しゃーねぇな。今週は俺がツッコミでいくか」
オェ!
神楽の声に銀時達が神楽を見る。
「神楽…お前…!!」
「おまっ…何処にゲロ吐いて…くさっ!!」
その時、銀時と蘇芳の耳に高い笛の音が聞こえた。
ふと蘇芳が塀の上を見上げると、白髪頭の男が此方に飛び降りてくる光景が写った。
「!」
男は見事に着地したが、飛び降りた場所が悪かった。
今しがた、神楽が出したもので滑りやすくなっていたのだ。
そのまま滑り、後頭部を強打する。
「いだだだだだだ!!それにくさっ!!」
男は涙目で頭を擦る。
「…何で塀の上から…?」
蘇芳がポツリと呟いた時、門から同心達が出てきて叫んだ。
「オイ、そいつ止めてくれ!!脱獄犯だ!!くさっ!!」
「はィ?」
「あぁ、やっぱり」
「ちっ!」
「!!」
男は舌打ちし、側にいた神楽と蘇芳を後ろから羽交い締めにして捕まえ、人質に取った。
「来るんじゃねェ!!このチャイナ娘と嬢ちゃんがどーなってもいいのか!!」
「貴様!!」
「…嬢ちゃん?」
銀時が微妙な顔で男を見つめる。
蘇芳と神楽も微妙な顔で男を見上げる。
今、聞き間違いでなければこの男、蘇芳の事を嬢ちゃんと言った。
「…」
「オイ、其処の白髪、免許持ってるか?」
「…普通免許は持ってっけど」





「…何でこーなんの?」
パトカーの後部座席で蘇芳がぼやく。
白髪のオッサンに未だ神楽と共にホールドされたまま、蘇芳はパトカーの運転席を見る。
其処には、パトカーを運転する銀時の姿があった。
「…おじさーん。こんな事してホント逃げ切れると思ってんの?」
「いいから、右曲がれ」
「今時脱獄完遂するなんざ、宝くじの一等当てるより難しいって」
しかも賞金稼ぎの蘇芳がいるから、更に逃げ切る可能性は低くなる、と銀時は心の中で思った。
「逃げ切るつもりなんてねェ…。今日1日だ。今日1日自由になれればそれでいい」
銀時はバックミラー越しに男を見る。

「特別な日なんだ。今日は…」

男は、窓の外の遠い空を見つめた。
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