銀魂

□第6訓
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そのどさくさに紛れ、桂達は近くの客間に隠れていた。
大きな座卓をバリケード代わりに立て掛け、とりあえずは難を凌ぐが、いつ破られるか分かった物ではない。
「…あ、そうだ、小太郎」
真選組の声が響く中、さっきのバズーカのせいで爆発した頭の銀時の隣で、外の様子を窺いながら、蘇芳は思い出した様に桂に声を掛けた。
「…ん?」
「八屋桔梗って女が近付いて来なかったか?」
「あぁ、こないだ会いに来たぞ」
ごそごそと懐を探りながら桂は答える。
「…この一派には、入ってないよな?」
「あぁ、丁重に断って帰って戴いた」
「…嘘じゃ、ないよな?」
「勿論だ。お前に…仲間であるお前に、嘘は吐かん」
蘇芳と銀時が桂に顔を向ける。
そして、桂の手に球体の何かが握られている事に気付いた。
「?そりゃ何の真似だ」
銀時の問いに、桂は簡潔に答える。
時限爆弾だ
「!」
「ターミナル爆破の為に用意していたんだが、仕方あるまい。コイツを奴等にお見舞いする…。そのスキに皆逃げろ」
その言葉に銀時は桂の胸ぐらを掴んだ。
「貴様ァ!桂さんに何をするかァァ!!」
桂の部下の言葉を無視し、銀時はまっすぐな瞳で桂を見据えた。
「……桂ァ。もう、終いにしよーや。てめーがどんだけ手ェ汚そうと、死んでった仲間は喜ばねーし、時代も変わらねェ。これ以上、薄汚れんな
桂もまっすぐな瞳で銀時を見据え、言い返した。
「薄汚れたのは貴様等だ、銀時、蘇芳。時代が変わると共にふわふわと変節しおって。武士たる者、己の信じた一念を貫き通すものだ」
「お膳立てされた武士道貫いてどーするよ。そんなもんの為にまた大事な仲間失うつもりか」
銀時はやけにまっすぐな、新八がこの眼に着いて行こうと思ったまっすぐな瞳で言い放つ。
「俺ァもうそんなの御免だ。どうせ命張るなら、俺は俺の武士道貫く。俺の美しいと思った生き方をし、俺の護りてェもん護る
その言葉を聞き、蘇芳は口元を綻ばせた。
いつになっても、この坂田銀時と言う男は変わらない。
普段は滅茶苦茶でちゃらんぽらんなくせに、その芯にある生き方はまっすぐど真ん中を貫いており、芯がぶれたり折れる事はない。
それはいつまで経っても変わらず、坂田銀時と言う男を形成している。
だからこそ、蘇芳は地球に戻って来た時、偶然を装い、真っ先に会いに行ったのだ。
…家やら何やらのゴタゴタは本気で忘れていて、住み込みを頼んだのは全くの予定外だったのだが。
「…銀ちゃん」
そんな中、神楽が気持ち申し訳なさそうに口を開く。
その声に蘇芳達が神楽を見ると、神楽は申し訳なさそうに笑いつつ、手に持った時限爆弾を見せた。
コレ…いじくってたら、スイッチ押しちゃったヨ



後の取り調べで、蘇芳はこう語った。

「あの時は、時間ってマジで止まるもんなのかって思ったよ」
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