銀魂

□第5訓
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江戸には似合わない洋風の豪華な建物。
万事屋の4人は、その前に立っていた。
「此処で合ってんだよな」
「うん」
神楽は小包の住所を確認して頷いた。
「大使館…これ、戌威星の大使館ですよ。戌威族って言ったら、地球に最初に来た天人ですよね」
「あぁ、江戸城に大砲ブチ込んで無理矢理開国させやがった諸悪の根源だよ。あー、ホント胸クソ悪いトコに来ちまったなァ、オイ」
蘇芳は忌々しそうに吐き捨てる。
「…そういや…」
銀時はある事を思い出したが、それは口にしなかった。
蘇芳が言うなと目で訴えたからである。
「オイ」
声を掛けられ、4人は声の主を見る。
其処には、戌威族の男が立っていた。
服装からして、門番であろう。
門番は蘇芳を見ると、突然敵意を剥き出しにした。
「お前…!」
「あ?」
「【戌威狩りの蘇芳】か!!」
「…戌威狩り?」
新八が怪訝そうに問い掛ける。
「コイツは、俺達の同胞を喰らう悪魔なんだよ!!」
「俺は俺の仕事をしてるだけだ。…犯罪を犯すから、更正する様に、親切で逮捕してあげてるだけだよ。…感謝こそされど、憎まれる覚えはこれっぽっちもねぇなァ?」
わざわざ一言一言強調しながら蘇芳は言う。
以前父親に対して悪意を込めて発した言葉よりも、数段上の悪意と敵意と、少しばかりの殺意を込めた言葉を発する蘇芳に新八は青くなり、本来の目的を口にする。
「いや…僕等、届け物頼まれただけで、争う気は」
「オラ、神楽早く渡…」
銀時が神楽を見ると、神楽はしゃがんで普通の犬にする様に、舌を鳴らしていた。
「チッチッチッ、おいでワンちゃん。酢昆布あげるヨ」
銀時は火にガソリンを降り注ぐ神楽を思いっきりしばいた。
しかし、蘇芳から出る張り詰めた空気が若干和らぎ、内心ほっとした。
「届け物が来るなんて話聞いてねーな。最近はただでさえテロ警戒してて厳戒体制なんだ。帰れ」
「わざわざ来てやったのに何だよ、その吠え種」
「吠え種って何だ!!言い種だろう、其処は!!」
「ドッグフードかもしんねーぞ、貰っとけって」
銀時が小包を差し出す。
「そんなもん食うか」
門番はそれを払う。
払った小包は、宙を舞い、大使館の敷地内へと入っていった。
「あ」
トン、と軽い音を立てて大使館の敷地に落ちる。
次の瞬間。
ドガンと大きな音を立てて小包は爆発した。
瓦礫が舞い、爆風に髪が靡く。
「…何かよくわかんねーけど、するべき事はよく分かるよ」
銀時達は門番に背を向ける。
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