銀魂

□第5訓
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いつもの居間。
蘇芳が雑誌を読んでいる横で新八が茶を啜り、神楽が新聞を読んでいると、銀時がいつになく恐い表情で入って来た。
そして、一言。
「俺が以前から買い溜めていた大量のチョコが姿を消した。食べた奴は正直に手ェ挙げろ。今なら3/4殺しで許してやる
開口一番、銀時は瞳孔開き気味と言う主人公らしくない表情で主人公らしくないみみっちい言葉を言い放った。
「3/4ってほとんど死んでんじゃないスか。って言うか、アンタいい加減にしないとホント糖尿になりますよ」
「俺はカカオ80%か90%のしか食わねーよ。銀の食べるあまっあまのチョコなんて食ったら砂吐くわ」
「またも狙われた大使館、連続爆破テロ凶行続く…」
たらり。
神楽の真っ白な肌に一筋の赤い液体が流れる。
その液体の正体は、神楽の破「いきなりR指定な発言すんなァァァ!!」
「…どうしたんスか、蘇芳さん…?」
「いや、管理人がいつもに増して変な事口走ろうとしたから…」
そう言いながら、神楽に全員が注目する。
神楽の鼻から、一筋の血。
それは紛れもなく、単なる鼻血だった。
「物騒な世の中アルな〜。私恐いヨ、パピー、マミー」
ガシリ、と銀時は神楽の顔を掴む。
「恐いのはオメーだよ。幸せそーに鼻血垂らしやがって。旨かったか?俺のチョコは」
「チョコ食べて鼻血なんてそんなベタな〜」
とぼけんなァァ!!鼻血から糖分の匂いがプンプンすんぞ!!」
「バカ言うな、ちょっと鼻クソ深追いしただけヨ」
「年頃の娘がそんなに深追いするわけねーだろ!!定年間近の刑事かお前は!!」
「喩えがわかんねーよ!!」
「って言うか落ち着けェェ!!」
その時、建物が揺れた。
「「「「!?」」」」
何事かと4人が家を出る。
「何だ何だオイ」
階下のスナックお登勢を見ると、横転したスクーターに、スクーターの積み荷であろう手紙が散らばっていた。
そのすぐ傍らに倒れた男。
一体何が起きたのか、4人は理解した。
「事故、か…」
くらあああああ!!
「!」
店から出てきたお登勢が怪我人の胸ぐらを掴み上げる。
「ワレェェェェェ!!人の店に何してくれとんじゃアア!!死ぬ覚悟は出来てんだろーな!!」
怪我人は青ざめた、しかし若干半笑いの顔で言った。
「ス…スンマセン。昨日からあんまり寝てなかったもんで」
その反省の見えない表情にお登勢がブチキレる。
「よっしゃ!!今永遠に眠らしたらァァ!!
「お登勢さん、怪我人相手にそんな!!」
今にも怪我人を死人に変えようとするお登勢を見かねた新八がそれを止めに入った。
蘇芳も降りて、新八の後ろから怪我人の具合を見る。
「…?」
何処か、おかしい。
不慮の事故ならもうちょっと怪我してても良さそうなものだが、ほとんど擦り傷で、応急手当てだけでどうにかなりそうだ。
…まさか、計算の上での事故?
蘇芳が違和感を抱いている前で新八は屈んで怪我人の様子を見る。
そして、呟いた。
「…こりゃ酷いや。神楽ちゃん、救急車呼んで」
救急車ャャァアア!!
誰がそんな原始的な呼び方しろっつったよ
銀時は冷静に突っ込み、しゃがんで地面に散らばった積み荷を拾って怪我人に声を掛ける。
「飛脚か、アンタ。届け物エライ事になってんぞ」
「こ…これ…」
飛脚は突然死にそうな声で銀時に1つの小包を差し出す。
「これを…俺の代わりに、届けて下さい……お願い。何か、大事な届け物らしくて、届け損なったら、俺…クビになっちゃうかも」
「事故なら会社通して客に言えばどうにかなんじゃねーの?」
蘇芳の突っ込みを飛脚はスルーし、銀時にやや強引に小包を託す。
「お願いしまっ…」
「おいっ!!」
ガクリ、と飛脚は身体から力が抜け、意識を失う。
万事屋の4人は顔を見合わせた。
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