銀魂

□第1訓
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「…良かったのか?銀」
走行中の原チャリから落ちない様に銀時にしっかり捕まり、蘇芳は問い掛けた。
「あー?」
「いや、銀から木刀渡されたから思わずあの子に木刀差して来ちゃったけど、良かったのかー?」
「…大丈夫だろ。あ〜、やっぱ駄目だな、オイ。糖分摂らねーと何かイライラす「おいィィィィ!!」……ん?」
蘇芳と銀時が振り向くと(余所見運転は大変危険なので真似してはいけません)、鬼の様な形相で走って来る新八がいた。
よくも人を身代わりにしてくれたなコノヤロー!!アンタ達のせいでもう何もかもメチャクチャだァ!!
「おぉ、さっきの少年じゃねーか」
「律儀な子だな、木刀返しに来てくれたの。いいよ、あげちゃう。どうせ修学旅行で浮かれて買った奴だし」
違うわァァ!!役人からやっとこさ逃げてきたんだよ!!違うって言ってんのに侍の話なんて誰も聞きゃしないんだ!!しまいにゃ店長まで下手人だって!!」
しかも『あんな綺麗な人が人を殴る訳ない!!』とか言って!!と言う店長が発した一言は新八の胸の奥底に仕舞われた。
「残念だけど、切られたね、それ」
「レジも打てねェ店員なんて炒飯作れねェ母ちゃんくらいいらねーもんな
アンタ母親を何だと思ってんだ!!
銀時は鼻をほじりながら(片手運転も大変危険なので真似してはいけません)言葉を続ける。
「バイトクビになったくらいでガタガタうる…」
「今時侍雇ってくれる所なんてないんだぞ!!明日からどうやって生きてけばいいんだチクショー!!」
新八が思いっきり木刀を振り上げ、殴ろうとするのを見て、銀時はボソリ、と蘇芳に聴こえるくらいの小さな声で告げた。
舌噛まねー様に気ィ付けろ
銀時はキィィィィィィィと甲高い音を立ててブレーキを掛ける。
そのまま原チャリの後輪が浮き上がり、新八の股関にクリーンヒットした。
「ゔっ!!」
「ギャーギャー喧しいんだよ腐れメガネ!!自分だけが不幸と思ってんじゃねェ!!」
「そーだぞー、少年。世の中には段ボールや新聞紙をマイホームと呼んで暮らしてる侍もいるんだぞ、ほらあんな風に!!
実例出すなよ!!
蘇芳は後ろ向きに座りながら近くを歩く段ボールを持った男を指差す。
原チャリから降りた銀時は蘇芳の言葉を肯定しつつ続けた。
「お前そーゆーポジティブな生き方出来ねーのか!?」
アンタ等ポジティブの意味分かってんのか!?
その時。
「あら?新ちゃん?」
丁度停まっていた前にあるスーパー、大江戸ストアの自動ドアが開き、綺麗な声が3人の耳に届いた。
その声の方を振り向くと、其処には綺麗で優しそうな女性が立っていた。
どうやら、新八の関係者らしい。
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