銀魂

□第0訓
5ページ/6ページ




警察署からそう離れていないファミレス。
蘇芳はブラックコーヒーを啜りながら、目の前で美味しそうにパフェを頬張る銀時の姿を見つめていた。
「…相変わらず甘いモン好きだな」
「お前こそ、見た目と相反して甘いモン食わねぇよな」
「まァな。苦手なんだよ。しょうがないだろ」
「そういやお前、いつこっちに帰ってきたんだよ?」
「えっと…3時間くらい前?」
「ついさっきィィィ?!」
「あぁ」
またコーヒーを一口啜り、銀時の言葉に頷いた。
「ターミナルで偶然奴を見つけて、ずっと追いかけっこしてた。諦め悪くて手こずったよー」
「それはあっちが言いたいだろうな」
「ったく、帰ってきたらすぐ不動産屋行こうと思ってたのに、予定が崩れっぱなしだよ」
「不動産屋ァ?もしかして住む所ないのかよ?」
「当たり前だ。帰ってきて、帰るべき家がある奴は敷金代わりに賞金首捕まえようとはしねーよ」
「他の奴は誰もしようとしねーよ!!」
「…さて、どうすっかなー…いつまでいるかどうか分からねぇし、桂や高杉ん所は職業的にも気まずいしマズイよなぁ…」
「お前、あいつ等の居場所掴んでんのかよ」
「何となくはねー。…なぁ、銀」
「ん?何だ?」
銀時は嫌な予感しかしなかったが、取り敢えず答える事にした。
「万事屋って何でもやってくれるんだよね?」
「ま、まぁな…」
「それじゃあお願い、俺を万事屋で雇って!」
銀時は改めて蘇芳を見た。
先程の蘇芳を見た限り、昔よりも強くなった気がした。
力仕事の依頼があった時、自分1人では面倒だったが、蘇芳が入ればだいぶ楽になる気がする。
「…昔馴染み価格でもいいなら、な」
「っ、ありがとう、銀!!」
「?!」
ガシッと銀時の手を掴み、パアッと花が咲く様に笑った蘇芳を見て、銀時は柄にもなく胸が高鳴った。
「…?どうした、銀」
「い、いや、別に何でもねーよ?!」
「…なら、いいけど。俺が入った限り、ちゃんと食べさせてやるからな!!」
満面の笑みを浮かべる蘇芳を見ながら、色々突っ込むべき場所があるにも関わらず、銀時はまぁいいか、と思った。



第0訓 了
→あとがき
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ