銀魂

□第0訓
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数分後。
銀時と蘇芳(+上総)は警察署の前にいた。
「ありがとな、銀」
「別に礼言われる程の事でもねーよ。…ただ、今週のジャンプ、まだ買ってねぇんだよなぁ…」
「分かったよ、ジャンプくらい買ってやるから。それじゃ、こいつ引き渡してくる。…来い、上総」
「へ、へい」
蘇芳が上総の腕を掴み、グイグイ引っ張って行く後ろ姿を見ながら銀時は昔の事を思い出した。





今にも雨が降り出して来そうな曇天の空の下、蘇芳と銀時は戦場にいた。
味方はほとんどいない。
自分達を囲む天人に殺されてしまった。
「…蘇芳、まだ戦えるか?」
「…銀、誰に言ってる?」
蘇芳はチャキ、と音を立て愛刀の曼珠沙華を構え直した。
「…勿論、戦えるさ。銀、お前は?」
「戦えるに決まってるだろ」
「…生きて、帰ろうな」
「…あぁ」
蘇芳と銀時は互いに背を向けて駆け、天人に向かって行った。


銀時と蘇芳が初めて会ったのは攘夷戦争の最中だった。
初対面の時、銀時の服の裾を握り、子供の癖に妙な諦めと絶望が入り交じった黄金の瞳で見上げ、一言だけ呟いた。
「…若いのに白髪なんて、苦労したんだね」
これは白髪じゃなくて銀髪だチクショォォォォォォォォォ!!

初めての会話がこれだ。
だから最初は蘇芳の事など大っ嫌いだった。
しかし、戦場で何度も助けたし、助けられた。
今では、心の底から戦友だと思えるくらい大事な人間になっている。
そう言えば、初めて会った頃、ずっと死んだ眼をしていたが、久しぶりに会った蘇芳の眼は、ちゃんと生きてる人間の眼だった。
警察署から出てくる蘇芳の姿を確認し、銀時は昔といい意味で変わった蘇芳を迎えた。
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