銀魂

□第0訓
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雨が、降り頻る。

そんな雨の中、普通と比べて少し長めの刀を構えた青年がいた。

肩まで伸ばした真紅の髪の間からまっすぐな黄金の瞳が覗く。

青年の目の前には、傷だらけの天人がいた。

「…さて、もう逆らわない方がいいんじゃねぇか?死なずに刑務所行って、罪償った方が楽だぞ?死にたくないだろ?」

「…フン、かの【曼珠沙華】と戦えぬなら、死んだ方がマシだ」

ひくり、と青年の片眉が動いた。

「…昔の俺を知っているのか」

「…有名な話だ。『攘夷戦争に参加していた攘夷志士が仲間を裏切って同志を狩っている』、とな…」

「…お喋りが過ぎるぞ、天人」

ユラリ、と青年の身体が揺れたと思いきや、天人の視界から突然消えた。

天人は、目の前に立っていた男の武勇伝を思い出していた。



その男、血の様な真紅の髪を靡かせ、

満月の様な黄金の瞳で敵を居抜き、

戦場で返り血を浴びながら戦うその様は。



生き血を啜り、咲き誇る【曼珠沙華】。



手刀で意識を失わせ、青年は溜め息を吐いて空を見た。

パタパタと落ちていた雫が止む。

曇天の空が丁度切れ、晴れ渡っていく。

「…さて…そろそろ、帰るか」

江戸へ。

雲間から洩れる光を浴びながら、そう呟いた。
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