魔王
□林檎
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その艶やかな罪の果実
【林檎】
「なんですかぁ、この美味しそうな実は」
そう言ってヨザックはテーブルの上の果物を1つ取った。
午後の日差しを受けて艶やかに光る赤い果実。
「林檎だよ」
黒い髪と黒い瞳を持つ魔王陛下がにこにこと笑う。
その隣で同じく双黒の大賢者が林檎を面白く無さそうにその果実に目を向けた。
「別名、知恵の実だよ」
「え、食べたらなんか特殊能力つくの?!」
ヨザックではなく、その実を知っているはずの有利が驚いたように声をあげた。
頭の中に自分の腕がゴムのように伸びるシーンを思い浮かべたようだ。
「あ、でも俺金槌は困るかも、主にスタツアで」
「大丈夫だよ、金槌関係無く連れてきてくれるから」
ははっと笑ってその実をテーブルに戻す。たまたまスタツアの時に林檎も一緒にこちらの世界に来てしまったのだ。
水面下から見上げた赤い林檎はまるで幾つもの太陽ができたかのようだった。
赤い色が水に溶けるように横に広がり幻想的な水面を作り出した。
綺麗だなぁ、と思った瞬間気が付いたら噴水に2人で浮かんでいた。
その実に顔を近づければ仄かに香る甘い芳香。
「知恵の実ってことは、沢山食べれば猊下みたく頭が良くなるんですか?」
「本当にそうならすでに君の口の中に押し込んでるよ」
にこりと笑う猊下の笑顔はどことなく幼なじみを連想させる。
「知恵の実は人類が最初に犯した罪だよ」
その罪は愛と云うらしい
あとがき
捏造部分。眞魔国にも林檎はある。
そして意味がわからない。