痛い歌

□蛭
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真夜中の鬱病を蛭に喰わせて
誰もいない廃街を歩いてゆく
冷たい草原で少女が死んでいる
誰かが快楽に飼われて
狂い咲いた罪の花にかじりつく

脳ミソの陰に蛇の目模様の
血だまりが凍る絶滅の予感

亡命を企む渡り鳥が国境を越えたその瞬間
打ち落とされた血沫が
世界に赤い雨を降らせた
そんなに血が足りないのなら
殺せるだけ殺しなよ

ポケットの中の空想が今日も
僕を迷路に誘い込む
一錠の頭痛薬でそれは
頭痛を悪化させるような事
瓦礫の山の中無数の手が伸びて
空飛ぶ胎児達のヘソノオを
掴もうとしている 掴もうとしている

真夜中の鬱病を蛭に喰わせて
誰もいない廃街を走ってゆく
黄色い花園で男が首を吊る
忍び寄る不安に駆られて
月にぶら下がる

足が折れるまで
はらわたがちぎれるまで
心臓が止まるまで
脳ミソが溶ろけるまで

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