復活
□帰る場所
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「はぁ」
「ボス、また溜息かよ」
「あはは、わりぃわりぃ」
「…寂しいのか?」
「まぁ、な」
恭弥が消えてから暫く経つ。
ただ待つことしか出来ない自分が、とてつもなく無力に思えてくる。
何処に、何をしに行ったのか、何故、突然何も告げずにいなくなったのかも、まるで分からない。
それでも、突然帰ってきて、『何してるの?』なんて言ってくれるんじゃないかと、淡い期待を抱きながら、今日も恭弥を待ち続ける。
「はぁ」
本日何度目かの溜息。
「ねぇ、何溜息なんて吐いてるの?腹が立つんだけど」
「あー、俺、そろそろ重症か?恭弥の声が聞こえた」
「何言ってんだ、ボス?」
「本当だよ。僕はここに居るけど?」
思わず、勢いよく起き上がる。
「恭…弥…」
「やぁ、久しぶりだね。現代の貴方に会うのは、だけど」
「?」
「何でも無いよ。こっちの話」
何だかはぐらかされた様な気もするが、気にしない。
「恭弥っ!!すっげー会いたかった」
「ん…。僕も」
思いっきり抱きついてそう言うと、珍しく肯定の返事が返ってきた。
あぁ、もう、なんて可愛いのだろう。
久しぶりの恋人の温もりは、ひどく心地良い。
「すっげえ心配したんだぞ?もう帰ってこねぇかと思った」
「バカだね、貴方は。僕の帰ってくる場所は、ここなんだから。ちゃんと帰ってくるよ」
「そっか…」
嬉しくなってぎゅうと尚更強く抱きつくと、細い腕が腰に回される
「ただいま」
俺の胸板に顔を押し付けたまま、ボソリと恭弥は呟いた。
精一杯の愛を込めて、俺はお前に伝えよう。
「お帰り、恭弥」
-end-
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