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□記憶
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お世話にも決してうまいとは
言えない歌声を聞きながら、
私は今日も駅前の噴水で
時間をつぶしていた。


よくいるストリートミュージシャン
耳に心地よく流れ込む街の音…


この瞬間だけは私は私でいられた。



「…ーはい、あざっす!!」

馬鹿でかい挨拶が聞こえて
周りの観衆が散っていく気配を感じ
私も重い腰をあげる。



夜特有の空気に包まれながら歩いていたら
いきなりグラッと体が傾いた。

「また、あんたか」

え、誰?
……転ばなかった?

右腕を誰かに捕まれてる。

助けてくれたのか…
慌ててお礼を言おうと口を開きかけたら、

「そうやって下ばっか見てるから転ぶんだよ」

呆れた様に呟かれた。


それが、君との出会い。



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