「ね、この雨が止んだらさ」
「うん」
明るくなり始めた空を見上げながら隣に居るフレンに話し掛ける。短い返事があっただけだったけど、私が何を言おうとしているか分かっているのか繋いでいる手に力が入った。私も少し力を入れてそれに応え、言葉の続きを口にする。
「もう手、繋いでちゃ駄目だよね」
空からフレンに視線を移すと、フレンは苦笑してた。釣られて私も苦笑して、互いに縋るように強い力で手を握り合う。
「駄目、だね」
フレンの返事の直後に、急に雨脚が弱くなる。もう雨宿りの必要はないと判断してか、フレンの手が離れていった。
「行くぞ」
「はい、隊長」
小雨の街、フレンの背を追って歩く。私達は恋人から、騎士団の関係に戻った。
fin