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□spiritoso
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とにかく走って、指令室に向かう。
こんなことするのは一人ぐらいしか思いつかないから。
「コムイさぁん!なんで僕の体が神田になってるんですかぁ!」
今僕の体はなぜか神田になっていた。
体だけじゃない。声も神田のものだし、変わっていないのは僕の魂というか……なんとも言いにくいけどそういうものだけだ。
「白状しやがれコムイ……!」
目の前ではすさまじい光景。
僕の姿をした誰かが、僕の声でコムイさんを脅している。
普通だったら考えられない光景だ。
誰かっていうより、もうだいたい見当は付いているんだけど。
「神田……ですよね?」
「それ以外に何がある馬鹿モヤシ」
睨みつけてはいるみたいだけど、僕の体だし声も高いし、なんとも迫力がない。
「とりあえず事情を聞きましょう……ね、コムイさん?」
ドスのきいた声の出せるこの身体って便利だ。
そう思いつつ、すでに涙目なコムイさんに話しかけた。
「―……体が入れ替わる薬?」
「そんなん作ってどうするつもりだったんだよ」
どうやら僕たちが飲んだのは、同時刻に飲むと体が入れ替わってしまう薬だったらしく。
「そりゃあもちろん、僕と誰かが入れ替わって、リナリーがどんな風に任務をこなしているかが見たくってね、僕は愛する妹のためならなんでm「あ、ティム今の録ってたよね、リナリーに見せてきて今すぐ」
「……ごめんなさい」
「で、この効果がなくなるのはいつなんだよ」
神田が間に入って、話の核心部分を尋ねる。
「……1ヶ月」
「あぁ!?ふざけんな解毒剤作れ今すぐ!」
「毒なんてひどいよ神田君!僕結構頑張ってつくったのn「消されたいか」ごめんなさい」
多分コムイさんのことだから、解薬剤くらい早く作ってくれるだろう。
「二人とも!最低でも3日は待って!お願いだから!」
そう言われて指令室から追い出された。
「それより何も食べてなかった……お腹すいた」
「ああ……つかなんだこの体やたらと腹が減ってるんだが」
「寄生型ですから。そのままでいるとぶっ倒れますよ」
「……行くか」
僕たちは足早に食堂へと向かった。