過去を繋ぐ物語
□焦がれる恋
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最近よく変な夢を見る。
俺と葵ちゃんが忍びで、見る夢ごとに場所は違うけど、そこは戦場だったり大きな城の中だったり。
しかしだ。
その夢の中の俺はいつも一方的に彼の事を思っていて、彼は俺に興味を持っていないようだったのだ。
少しだけ寂しい気がする。
実際、今俺は葵ちゃんに片思いしているわけで、その夢は今の俺みたいに思えてくる。
嫌われる事を恐れて、あともう一歩が踏み出せない自分。
「佐助さん?」
ふと、名前を呼ばれて我に帰る。今、俺は葵ちゃんから話があると喫茶店に呼び出されていた所で…。
どうしたのだろうか、と葵ちゃんの話を待つ。彼は何かを言いたそうにしては、その何かを言うのを踏み止まっている。
「あ、の…」
「どうかした?話って何?」
俺がそう言うと、彼は何かを決心した表情で俺を見る。その表情があまりにも格好よくて、思わずドキドキしてしまったが、葵ちゃんが発した言葉に頭が真っ白になった。
「その、もう会うの辞めませんか?」
「え……?」
「すいません、俺の身勝手な考えなんですが……。じゃあ……」
飲み終えたミックスジュースとお金を置いて葵ちゃんは喫茶店を出て行ってしまった。