過去を繋ぐ物語
□不思議な夢
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曇天の空。
今にも雨が降り出しそうな空を俺はただただ見つめる。
すると、ポツリポツリと温かい雨が頬をつたい始める。
「雨…」
ボーッと空を眺め続ける。
しかし雨は降っていないのだ。
流れているのは、自分自身の涙だった。
「え……、あ、俺、泣いて、る?」
そんな涙を拭うのに、手を見るとその手は真っ赤に染まっていた。
*
「―――っ!」
目を開くと、そこは見慣れた部屋。
「夢か…」
また変な夢を見てしまった。
時計を見るとまだ深夜。
(血が、ついていた……)
夢の中の自分は空を眺めていて、手には真っ赤な血がついていた。
おそらく俺は怪我をしていなかったので、多分その血は俺のものではなく他の人のもの。
今日はなぜか夢を覚えている。
いつもなら目が覚めたら内容は忘れてしまっていて、変な夢を見たという事実だけしか覚えていないのに。
(………寝よう)
これ以上考えても無駄だと思った。
はぁ、と息を吐いて再び眠りに落ちた。