萌えのシチュエーション15
□4.……その跡、何?
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4、……その跡、何?
ガウリイがおかしい。
今は、真夏。
あたし達は昨日この暑い中やっと次の村に着き、たった一ヶ所しかない宿に泊まった。
だが、昨日まではフツーだったガウリイが、今日の朝から様子が変だ。
よそよそしいような、落ち着かないような。
「ちょっとガウリイ、どうしたのよ。」
「へ?なにがだ?」
「なにがって…だって、なんだかあんた変じゃない?」
「そうかぁ?どこもおかしくはないが…」
「いつもおかしいけど今日は一段とおかしい。」
「おい。」
ガウリイがジト目で見てくる。
だって本当のことだもーん。
「…なぁ、リナ。お前さん昨日のこと覚えてるか?」
「昨日?」
昨日なにかあったっけ?
確か宿に着いて、一旦部屋に行って夕食の時間になったから下でご飯食べて。
そのあとは、宿のおっちゃんにおすすめのワインがあるって言われたから貰ってガウリイの部屋で2人で飲んで…
ありゃ?いつ自分の部屋に戻ったんだっけ?
「ガウリイ、昨日あんたが部屋まで連れてってくれたの?」
「ああ。そうだが…やっぱ昨日のこと忘れてるだろ?」
そこまで飲んだつもりはなかったんだけど…
「あはは;で?それがどうしたのよ。」
ああ。といいながらガウリイは、指で自分の襟元をめくった。
するとそこには…
「……その跡、何?」
「何って。昨日リナが付けたんだぞ。」
その首筋には、きれいな歯形が付いていた。
「はぁっ??あたしが?!」
「そ、リナが。ついでに言うとリナにも付いてるぞ。歯形じゃないが。」
へ?と間抜けな声を出したあたしの襟元にガウリイが手を伸ばし捲った。
「ちょっ!何すんのよ!!」
あたしは、自分を構うようにしてガウリイの手を振り払った。
「だから、リナの首筋にオレが付けたキスマークがあるんだって。」
「な、なな、」
言葉が出ない。
あたしは凍り付いたようにその場につったっている。キスマーク!?
あたしに!??
思考がごちゃ混ぜになっているあたしに、ガウリイは
「あのな、昨日オレの部屋で飲んだだろ?そん時にお前さんものすごく酔っ払っててな。急に、『ねぇ、ガウリイってキスマーク付けるのうまい?』って聞かれてなぁ。」
と、昨日あったことを話やがった。
い、いくら酔ってたからってなんてことを聞くんだ。あたし…;
それにしても…
「それで、どう言えばいいのかわからなかったから」
「実際にやってみたと。」
「そう。それでやってみてお前さんは、あたしもやるーとか言いだした挙げ句、オレを押し倒してなかなか付かないことにいらついたのか、噛み付かれてこの跡が出来たってわけだ。」
「……」
もうなんて言ったらいいのやら…
ん?ちょっと待てよ。なにか大事なことを忘れてるような…
「ちょっと、ガウリイ?あたしは聞いただけなのよね?」
「ん?そうだぞ。」
「それじゃ実際にする必要はなかったんじゃないかしら?」
「ええと…;その;なんていうか実際にやったほうがはやいかなと…」
そうよね。なにも実践することはなかったのよね。すれとこれはなにもかも全部ガウリイが悪いのよ。
あたしは悪くない。
うん。
「というわけで、悪いのはあんたってことで。ぶっ飛べ!!爆裂陣ォォ!!!!」
ちゅどぉぉおん!!
「なんでだぁぁぁあ!!」
ガウリイは、空高く舞っていった。
パンパン
「ふぅ。さてと、次の街にでも出発する支度でもしますか。」
問題は解決したしね。
かくして、あたし達の旅はまだまだ続く!!!
end