紅獅子 物語

□寮と組み分け
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2日後にやってきたサラザール、ロウェナ、ヘルガは目の前の状況に少々困惑気味だ。というのも、来てみれば、動く階段のところで絵画達と話しているゴドリックが居て、ガイリオスは階段の下でゴースト達に囲まれながら会話をしていたからだ。3人が来たことに気づいてガイリオスが声を掛けた


「来たかね」

「ガイリオス・フェイルターナ公爵、これは」

「偶の語らいだよ。さぁ、皆、席を外してくれるかな?」


そう言えば、ゴースト達は散ばる。ゴドリックも3人に気づいて、階段の上から手を振った


「お〜い!サラザール!ロウェナ!ヘルガ!」

「ゴドリック、何をしている?」

「絵画達と話してたんだ!此処の階段、消えたりする段があるから気をつけろって言ってたから気をつけろよ!!」

「グリフィンドール、下りてきなさい。大広間で茶会をしよう」

「はい♪今、行きます!!」


そういうといきなり、消える階段で落ちかけるゴドリックに皆が呆れた


「ちょっ!助けろって!!」

「自分で気をつけろって言ったんじゃないの!」

「ゴドリック、呼び寄せ呪文で箒を呼んだらどうですか?」

「て、此処、箒あるのか?!ロウェナ!!」

「ありますか?フェイルターナ公爵」

「あるにはあるが、呼び寄せ呪文ですぐに飛んでくるか分からないだろうね」

「ちょっと、早く、助けてって;;」

「・・・まったく、貴様は」


いつの間にかゴドリックの処まで上ってきていたサラザールは彼に手を伸ばした。ゴドリックは彼の手を取り、引き上げられた


「はぁ〜、助かった。ありがとう、サラザール」

「まったく、次から気をつけろ、ゴドリック。今度、したら、自業自得だ自分でどうにかしろ。もっと危機感を持て。だから、良く捕まるのだぞ」

「・・・・・・うっ・・・しょ、精進します;;」


サラザールに言われて、ゴドリックは引き攣った顔をした。2人で階段を下りていくとヘルガとロウェナにも注意されてゴドリックはさらに落ち込んだ。それから、5人は大広間にやってきた。大広間の天上には、綺麗な空が映し出されていた


「なに、これ・・・すっごく、綺麗じゃないの」

「本当に綺麗ですわね」

「そうだろう!この天上さ、公爵の魔法で夜空みたいに見せてるんだってさ。他にも色々な空を見せてくれるし、雨降ったり、雪が降ったりすることもあるみたいなんだ!なぁ、此処さ、広いし、食堂と、式場とかにもってこいじゃないか?入学式とか、卒業式とかにさ♪」

「良いですわね。此処なら、全生徒達が入っても十分ですわ。教師は、前が良いですわね。あの梟の壇上で挨拶をするというのはどうでしょう?」

「ふむ、良い案だ。ならば、寮は幾つにするか。それにより、列なども変わってくる」

「寮を幾つ用意するか考える前にどんな生徒達を入れるかを考えるべきではないでしょうか?」

「ん〜、別に誰でも良いでしょ?あたしは特に無いわ。ロウェナは?」

「私は、そうですわね。知識を多く求める者を推薦したいですわ」

「ん〜、俺は・・・勇気、かな?大事だろ?やっぱりさ。勇気があれば、どんな困難だって立ち向かえる♪」

「・・・オマエらしいな、ゴドリック」

「そういう、サラザールはどうなんだ?」

「・・・・・・」

「?サラザール?」

「そうなると、君達が4人なのだから、4つの寮を設けてはどうかね?其々が其々の場所に寮を作れば良いだろう?」

「名案ですわ、フェイルターナ公爵」

「そうね。同じ場所にしたら、多分色々ありそうだし、4つもあれば個性豊かで良いんじゃない?」

「ん、だったら、俺、あそこが良いな。俺が泊まってたとこ。寮にするなら絶対、あそこが良いって思ってたんだ!」

「・・・我は、地下があればそちらが良いな」

「うっわ、サラザール。地下って、じめじめしてるし薄暗いじゃないか;;」

「その分、蛇達には心地良い環境だ」

「・・・あ、そう;;」

「ん〜、あたしも地下が良いなぁ。植物達の中には地下の方が良い子達も居るし。ロウェナは?」

「そうですねぇ。私は、離れとかが良いですわ。静かな分、落ち着けますし、本を読むにも、知識を得る上では、騒がしくない方が良いですわ」


4人で話していると彼等の前に公爵は大きな羊皮紙を広げた


「公爵、これ、此処の地図ですか?」

「あぁ。そうだよ、グリフィンドール。さて、君達の言った意見をもとにすると、2人は地下が良いそうだから、此処になるね。グリフィンドールは8階のこの塔だ。それから、レイブンクロー。君の場合は、西側の塔なら静かなはずだ。何しろ、他より離れたところにあるからね」


そう言いながら、ガイリオスは魔法で出した色の付いたガラスの玉を其々の場所に置いていく


「それから、現在位置が此処だ。これから色々案内するが、とりあえず、図面上で説明をしておこう。まず、地下には厨房があり、屋敷しもべ達が居る。今は少人数だが、これから、生徒が増えていけば、段々と増やしていけば良い。3階は回転階段がある。4階には、大広間ほどの広い空間があるが、此処は今、書斎になっていて、本が多数ある。6階にはバスルームがあるから利用すると良い。あと、この塔は、現在は私の自室になっているが、此処にはちょっとした仕掛けがある」

「仕掛け?」

「そう。何しろ、以前、不死鳥が色々と探検しては、隠し通路を増やしたり、部屋を増やしたりとしてくれたからね。自室まで何かされては堪らないから、ガーゴイル像に合言葉を儲けて知る者以外は入れないようにしてある」

「不死鳥、とは・・まさか」

「そ、そうだ、サラザール。俺の、父さんだ;;」

「あぁ、そうだ。スリザリン。君の寮だが、地下の此処なら、君も落ち着くだろう。不死鳥と共に君の父も来ていたからね。あそこは、彼が模様替えした分、君も気に入るだろう」

「・・では、我はその場所で」

「ねぇ、ゴドリックのお父さんって他人の家で何してたのよ」

「あぁ〜、其処はあまり突っ込まないでくれ。ていうか、まぁ、うん。何ていうか・・」

「そうだね。今、目の前に居る彼よりも自由奔放過ぎた、紅い嵐というか台風のような男、だね」

「・・・それって、自己中心的、なんじゃ」

「いや、えっと;;」

「そうでもなかったさ。見ていて厭きなかったよ。色々かき回してくれたけど、その分、楽しい日々でもあったからね」

「・・・公爵」


フフフ、と笑うガイリオス公爵にゴドリックは少し嬉しかった。そんな彼を見てサラザールはフッと微笑んだ。それから、皆で城を回った。ガーゴイル像のあるガイリオス公爵の自室は、後に校長室に4階の書斎は、そのまま、本を整理して図書室にすることになった


「ところで、学校の名は決まっているのかな?」

「いえ、それはまだ」

「あのさ。俺、考えたんだけど」

「どんな名前なの?ゴドリック」

「あぁ。えっと、こんな凄い城くれたから、公爵への感謝も込めて、『ホグワーツ魔法魔術学校』ってどうだろう?」

「礼は要らないよ、グリフィンドール。逆に感謝するのは私の方だ」

「でも、俺がお礼をしたいんです、ガイリオス公爵」

「・・・」

― 俺がお礼をしたいんだ。ガイリオス、ありがとう ―

「フフフ」
(本当に君は彼、そっくりだ)

「ん〜、ホグワーツ魔法魔術学校、ね。良いんじゃない♪あたしは賛成よ」

「そうですわね。私も良いと思いますわ」

「サラザールは?」

「フッ、貴様にしては、良い名だ。反対する訳も無い」

「貴様にしてはっていうのが気になるけど。じゃあ、決まりな♪ホグワーツ魔法魔術学校、俺達の学校だ♪」


嬉しそうに笑うゴドリックにサラザールはフッと微笑み、ロウェナやヘルガは2人で笑いあう。ガイリオスはそんな彼等を見ながら、城の図面上、空いているところに『ホグワーツ魔法魔術学校』と記したのだった


「ところで」

「公爵?」

「良いかな?1つ気になることがあるのだが」

「何が気になるのですか?ガイリオス・フェイルターナ公爵」

「うむ、君達が居る間、生徒達は君達が寮を分ければ良いと思うが、それ以後はどうするのかね?」

「?どういう意味ですか?ガイリオス公爵」

「これから先、未来の話だよ、グリフィンドール」

「?」

「つまりだな、ゴドリック。ガイリオス・フェイルターナ公爵は、我等が生きている間は、我等で寮を分けることが出来るが、我等亡き後、500年、1000年後の先は誰が寮分けをするのかと、そういう話をしている」

「あ、そうか。でもさ、寮を分けるなら開心術使うんだろ?」

「そうなるだろうな。生徒達の資質が我等のどの寮と当て嵌まるのかを決めるなら開心術が1番良いだろう」

「では、こういうのはどうでしょうか?」

「?なんだ?ロウェナ」

「長持ちする物に開心術を使って、寮を分けて貰えば良いと思いますわ。生徒に触れることで、私達のどの寮が良いのか定める物を作れば良いと思います」

「それ、良い考えね♪ロウェナ」

「あぁ!俺も賛成だ!」

「・・問題は、何を使うか、だな。生徒に触れるものならば、下手なものより、抵抗の無い物、身につけられる物が良いだろう」

「ねぇ、マグル出身の子達が居るんだから、魔法を知らない子達よ。なら、ようこそ!魔法の世界へ!的な物の方が良くない?」

「だが、ヘルガ、それでは身につけられる物となると限られる。ローブのようなものでは、1学年の全生徒の寮分けには時間が掛かり過ぎる」

「ん〜〜、あ!アレなら良いんじゃないか?」

「ゴドリック、アレじゃ分からないわよ!」

「アレだよ、帽子。帽子なら、身につけられるし、頭に被るだけだから寮分け時間もそんなに掛からないぜ。ついでに、それなら、魔法使いの帽子だから、魔法の世界、こんにちは〜的なことにもなるだろ♪」

「それ、良いわね♪」

「そうですわね、良い考えですわ」

「ふむ。確かに良いな。だが、それならば下手な帽子では、長く原型を留めてられんだろう。ある程度、魔力のあるものでなければ」

「あ、俺の帽子なんてどう?」

「オマエの?」

「そう。俺の帽子。俺がちょっと前まで使ってたから、俺の魔力ちょっとは宿ってるし、あの帽子、元々父さんがくれた物だから、父さんの魔力が宿ってるんだ。その為か知らないけど、アイツ喋るんだぜ♪どうだ?もってこいだろ?」

「喋るって・・・もしかして、ゴドリック。1人で帽子に向かって話しかけてたとかあるの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」

「まぁ・・・それは、寂しいですわねぇ」

「・・・ぁう;;」
(だって、一人旅だったんだもん!)


どよんっ、と落ち込んで、膝を抱えて蹲りイジイジと端の方でし始めたゴドリック


「・・・ふむ、不死鳥の、か。かの魔力も宿っていれば、そう簡単に形が壊れることはないだろうね。1000年以上は余裕で持つだろう。それに喋れるのなら、寮を告げるのにも役に立つだろうね」

「!!・・・ですよね!・・・じゃあ、持ってきます!」


ガイリオスの言葉にピクッと反応して、輝かんばかりの笑顔で振り返り賛同するとダッとゴドリックは大広間を飛び出して行った


「ホント、ゴドリックって子どもよねぇ。喜怒哀楽が分かりやすいし、あぁいうタイプって扱いやすいとか言われるのよねぇ」

「そうですわね。でも、あの笑顔は周囲を明るくしてくれますわ。それに学校を築くことが余程嬉しいんでしょう。いつもより輝いてますわね」

「学校を築くのは奴の夢、だからな」
(それが今、叶う。此処こそ、あれが最も輝ける場所。あれが輝ける笑顔があり続けるならば、如何な事でも我は成す。例え、オマエに恨まれようともな、ゴドリック)


暫くして、廊下を走る音が近づき、大広間に「痛い!掴みすぎだ!」と怒る帽子を手にして眩しい笑顔でやってきたゴドリックを皆が微笑ましく迎え、4人は杖を向けて帽子に自分達の信念、求める資質、それを見極める力を与え、ゴドリックは嬉しく言った



「これから、頼むな!組み分け帽子!!」



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