紅獅子 物語

□終結と始まり
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「・・・何処か、行くのか?サラザール」

「・・・何故、そんなことを聞く?」

「・・・俺が、分からないと思うのか?これじゃあ、まるでオマエが此処から去るみたいじゃないか!」

「・・・みたいではない」

「!?・・・・・・な、に・・言って・・・んんっ?!」


サラザールはゴドリックの唇を無理矢理奪った。深く口付けられて、酸欠で倒れそうになるのを必死に留める


「んっ・・はっ・・・ぁっ・・・んんっ・・・はっ・・・はっぁ」

「・・・ゴドリック」

「はっ・・サラ、ザール?;;」

「今夜は、本当に覚悟しろ」


そう言われて、ゴドリックはベッドに押し倒された



「ッ・・・ぁっ・・・・・・さら、ざーるっ」

「・・・」


あれから、もう何時間と過ぎている。いつもなら、とうに休んでいる頃。だが、サラザールは中々、ゴドリックを解放しようとせず、さらに拘束を強める。何度も何度も、まるで彼の温もりを覚えていられるように、彼に自分を忘れさせぬように、何度も彼の身体に刻み込んだ。最後には、ゴドリックは完全に意識を手放して、疲れきった顔でベッドの上に横たわる。汗ばんだ彼の頬に手を伸ばし、優しく撫でて、キスをする。真夜中に彼を抱え上げて、部屋を出て、ゴドリックの部屋へ行き、彼のベッドに彼を寝かせる。その頬に触れて彼の寝顔を見つめる


「・・・ゴドリック。オマエは知らぬだろう?オマエと出会ってから、我がどんな思いでオマエを見てきたのか、オマエは知らぬ。オマエが他人と話している時に相手を嫉妬している我をオマエは知らぬ。オマエが我を止めたあの時、どれだけ我が救われたのかオマエは知らぬ。あのまま、変わらぬ日常の中に飛び込んできたオマエに我が一瞬で心奪われたことなどオマエは知らぬだろう。あのまま、あの日常の中で終えるはずだった我の人生は、飛び込んできた太陽に導かれ、我は今、幸せだ。もう、何も欲しくは無い。何も後悔すら・・・だが、心残りがあるとすれば・・オマエを残していくこと、オマエの傍に居られぬことくらいだ。ありがとう、ゴドリック・グリフィンドール。そして、さらばだ」


サラザールは、試験管に入った薬を口に含み、彼に飲ませて彼は部屋を去った。自室で杖を振り、荷物を邸へと送る。部屋を見つめて、静かに扉を閉めた。廊下を歩いていくとラルフに呼び止められる


【もう行くの?】

「・・・」

【君も、君の父親も、その魔力に苦しめられるね。特に君は、かな?君の父親の方は、先に向こうが逝ったからだけど、君の場合は、彼を置いていくんだね】

「・・・アレは、我が居らずとももう問題ない」

【・・・本当に、そう思っているの?】

「我は・・・ゴドリック・グリフィンドールを信じている」

【・・・・・・そう】


サラザールは、歩みを進めて城の外に出ようとして後ろから呼び止められる。その声はラルフではなく


「サラザール!」

「・・・ヘルガ、それに、ロウェナ」

「何処に、行くの?サラザール」

「・・・・・・」

「出て行く気なんですね」

「・・・あぁ」

「どうして?どうしてよ!だって、まだ始まったばかりなのよ!それに、ゴドリックはどうするのよ!」

「学校はもう開校した。1期生も卒業した。我が居らずとも続いていく」

「じゃあ、ゴドリックは?!貴方達、あんなに仲良いじゃない!ゴドリックは承諾したの?」

「・・・・・・」

「・・・話してないんですね。ゴドリックには。貴方が出て行くと知ったら、彼が止めているはずですわ」

「ゴドリックは、どうしたの?ロウェナ、サラザールをお願い。ゴドリックを捜して・・」

「捜しても無駄だぞ、ヘルガ。アレは暫くは起きぬ」

「・・・サラザール。ゴドリックに、何をしたの」

「・・・」

「何をしたのよ!」

「・・・・・・」


彼は答えずにバサッとマントを翻し、2人に背を向ける


「彼に、告げずに去るのかね?スリザリン」

「・・・ガイリオス・フェイルターナ」

「私が、君のことに気づかないと思ったかね?あのこと、告げずに」

「あのこと?」

「フェイルターナ校長、あのこととは?」

「それは」

「ガイリオス・フェイルターナ。余計なことを話す必要は無い。我が去ることに変わりは無い」

「・・・あの子に、告げずに、本当に良いのかい?スリザリン」

「・・・・・・構わぬ。何より、アレに余計な重荷を背負わせる必要は無い」

「・・・そうか。だが、彼が聞いてきたなら、私は全てを話す」

「・・・・・・好きにしろ。ヘルガ、ロウェナ・・・ゴドリックを、頼む」

「・・・サラザール」

「・・・分かりましたわ」

「ロウェナ!」

「ヘルガ」
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