紅獅子 物語

□魔法の古城に父の痕跡
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「それで、そのレイブンクローとハッフルパフが俺達と茶会したいってこと?」

「あぁ。ついでにいやぁ、向こうは賛同してる」

「話したらすぐに了承してくれてね。いくつか案もあるそうだよ」

「へぇ〜、心強いな♪サラザール」

「そうだな。叡智の家系、レイブンクロー、か」


ある部屋の扉を開ける。中を見た瞬間、ゴドリックとサラザールは一時思考停止した。彼等が見たものは、部屋を埋め尽くす


植物


「・・・・・・なぁ、サラザール」

「・・何だ」

「これ、何?」

「植物だな」

「いや、魔法省の中に植物って;;」

「ハッフルパフ家、か?」

「あぁ。ここは、ハッフルパフの譲ちゃんの部屋だ」


ゼロスがさらりと言う。レオスは前に出て、ずんずんと奥へ進んでいく。彼について行くと植物の中にあるテーブルに椅子が並び其処に2人の女性が居た


「あ、来たみたいよ♪ロウェナ」

「そうですね、ヘルガ」

「やぁ、ロウェナ嬢、ヘルガ嬢。久しいな」

「あら、フェルバジルナーク卿。お久しぶりですわ」

「ホント久しぶりね♪フェルバジルナーク卿」

「あぁ、そうだな、ヘルガ嬢」

「・・えっと」

「あぁ。紹介するぜ。あっちがロウェナ・レイブンクロー。んで、こっちがヘルガ・ハッフルパフだ」

「初めまして♪あたしは、ヘルガ。ヘルガ・ハッフルパフよ」

「私はロウェナ・レイブンクロー。初めまして」

「あぁ。俺はゴドリック。ゴドリック・グリフィンドール」

「我は、サラザール・スリザリン」


各々自己紹介を追え、今はテーブルを6人で囲み、御茶会兼学校設立の会議をしはじめた。ロウェナの案は、7年生にすること、寮の設立、教科書作成、マグル避けの魔法や結界、制服、教員、教科数、試験の時期、校則などである


「私としては、このように案を出しますがどうですか?」

「・・いや、なんか、凄すぎで」

「さすが、叡智を誇るレイブンクロー家の令嬢。短時間で此処まで絞り込むとは」

「私だけの意見ではありませんわ。ヘルガとも話し合ったんですよ」

「そうよ♪学校なら、教科書とか、あ、あと図書館も必要ね。魔法植物や魔法動物も知ることは必要だと思うし」

「あと、闇の魔術に対する防衛術を教えることも忘れんなよ」

「そうだね。私達が居るにしても、何があるか分からないからね」

「んじゃ、考えうる限り、色々案出して、固めてこうぜ♪」




茶会から2ヶ月。魔法省側はフェルレオナークやフェルバジルナークに、他は夜会などに参加し積極的に資金面などを固めていった。4大貴族による学校設立の話は、魔法界に瞬く間に広がっていった。そんなある日、彼等はある重要な問題に直面していた


「しかし、7年制か」

「1学年、100人と見積もっても、700人は入る規模の寮と学校設備が必要じゃねぇか」

「100人;;」

「最初は、そんなに人数は無いだろうさ。だが、今後、続いてくのならそれぐらいの規模になっても可笑しくねぇだろ」

「ならば、それだけの人数を補えるだけの建造物が必要というわけか。スリザリン家には其処まで規模のある建造物は無い」

「フェルレオナーク家にも無いね」

「フェルバジルナーク家も、だ。ていうか、それだけ大規模ってなりゃあ、見つけるのだって容易じゃない。一から作るにしても、相当な魔力が必要になる。ハッキリ言って、最強の魔力を持つ瞳を持つ奴が数人居ても、ギリギリか死者出すぞ」

「2強たる最強の瞳のオッドアイと空色の瞳の魔力保持者が居れば、話は別だけど、現在その瞳の者はこの世に居ない」

「・・・てなると、打つ手無いんじゃないか;;」


突然、行き詰ってしまい、4人は言葉が出ない。そんな中、ゼロスが口を開いた


「・・・・・・不本意だが、アイツに聞いてみるか」

「アイツ?」

「ゼロス・フェルバジルナーク。アイツとは誰だ?」

「ゼロス、まさか、彼かい?;;」

「あぁ。もし、それだけの大規模な建造物、知ってそうな奴って言えば、アイツしか居ない」

「だから、アイツって誰?」

「イグノタス・ペベレルの情報源。ヴァンパイアの情報屋にして葬儀屋だ」


翌日、6人はダイアゴン横丁の裏路地、夜の闇横丁に来ていた。ある建物の裏にある扉。その扉を開ける


「居るか?エクシア」


6人が入り、扉が閉まる。薄暗い部屋に響く不気味な声


「・・ヒッヒッヒ、これは珍しいお客様だねぇ〜・・・・・・いらっしゃい、フェルバジルナーク卿♪」


ゴドリックの後ろにあった女性の絵画が動き、そこから真っ黒な衣装を身に纏う不気味な声の主が現れた。気配も無く現れた彼に驚いてゴドリックは叫び声を上げた


「ぎゃああぁぁ!!?」

「おやおや、こっちはグリフィンドール卿かい?ヒッヒッヒ、父親、そっくりじゃあないか」

「・・え?と、父さんを知って?」

「ヒヒヒ、知ってるとも。フラウ・グリフィンドール。不死鳥の騎士は我輩のお得意さんの友人でねぇ。何かと2人で来てたよ」

「2人?」

「ヒヒヒッ、そうさ。お得意さんはそっちの父親さぁね」

「・・・父上か」

「ヒヒヒッ、そうさ。ラグナザール・スリザリン。よく家に来てたねぇ〜。嫌々だったけど」

「おい、エクシア。世間話はそのへんにしとけ。本題に入るぞ」

「ヒヒヒッ、分かってるさ。フェルバジルナーク卿。君達の噂は、我輩の耳にも届いてるよ。建築物をお探しなんだろう?それも、約1000人近くが過ごせる規模と各教科等補える部屋数のある建造物が」

「さすがだな、エクシア・・・・・・それで?」

「ヒヒヒッ、そりゃあ、「普通」は無いだろうねぇ」

「・・・やっぱり」

「ヒヒヒッ、何を気落ちしてるんだい?グリフィンドール卿。我輩は「普通」は、と言ったよ」

「え?」

「ヒヒヒッ、あるよ。700人以上が入れる規模で部屋数も多い、魔法の古城がね」


その言葉に皆が食いついた


「マジッ?!」

「ヒヒヒ、あぁ。しかも、其処の城主は新たな城主募集中でね。彼は其処に居るようだし、すぐに来てくれて構わないそうだ」

「何処だ?それは」

「ヒヒヒ、その前に等価交換。さぁ、フェルバジルナーク卿。我輩にアレをおくれ♪」

「「「「アレ?」」」」

「うっ;;」


不気味な笑いでゼロスに迫るエクシアヴァートにゴドリック達は首を傾げた


「アレって、何?」

「・・・あぁ〜っと;;」

「さぁ、さぁ、早くアレをおくれ♪フェルバジルナーク卿。萌え心を擽る萌えグッズを我輩におくれ」

「「「・・・・・・;;」」」


エクシアヴァートの言葉に、サラザール、ヘルガ、ロウェナが少し退き気味で苦笑いしているが、ゴドリックは、「萌え」という単語が分からず首を傾げている


「なぁ、サラザール。萌えって何だ?」

「・・・・・・ゴドリック」

「ん?」

「オマエはそのままでいろ」

「・・・・・・は?意味分からないんだけど;;」

「知らなくて良いってことよ。ていうか、ゴドリックは知らなくて良いわ。ホントに」

「えぇ、そうですわね。貴方は、そのまま純粋なままで居てくださいな」

「・・・・・・・・・どういう意味なんだよ;;」


さらに首を傾げるゴドリックに3人は彼の肩をポンッと手を置いてそう言うだけだった


「ヒヒヒッ、純だねぇ、グリフィンドール卿〜♪萌えの素材にもってこいだねぇ」

「・・・は?素材って?ていうか、ホントに萌えって何なんだよ」

「グリフィンドール卿は鼬というより、猫だねぇ♪ヒッヒッヒッ♪」

「・・・は?鼬?猫?俺、鼬でも猫でもねぇんだけど・・・あ、獅子って猫科だっけ?」

「いや、ゴドリック。オマエは知らなくて良い」

「えぇ〜、だって、気になるじゃないか、サラザール〜」

「良いから。オマエは知らなくて良い」

「・・・何でだよ〜〜;;」


ムスッと不機嫌そうに言うゴドリックにサラザールはなんとも言えず、視線を逸らした。そんなゴドリックを見ながら、不気味に笑い「涎が出そうだねぇ〜」などと言っているエクシアヴァートをサラザールはジロッと睨めば「おぉ〜、怖い」と大げさな仕草をした


「ヒヒヒッ、それで、フェルバジルナーク卿」

「・・・・・・仕方が無い。オマエ等、一旦、部屋を出ろ」

「え?」

「行くぞ、ゴドリック」

「・・え?え?え?」

「ほら、行くわよ、ゴドリック」

「行きましょう、ゴドリック」

「え?え?・・・なんで、出なきゃいけないんだ?」

「「「知らなくても良い(から)(ですから)とにかく、(出ろ)(出るよ)(出ましょう)」」」

「だから、何で何だよ〜〜〜;;」


ズルズルとヘルガとサラザールに両腕を掴まれ、連れて行かれるゴドリックにロウェナはニコニコしながら、後を追った。彼等が出てから、パタンッとレオスが扉を閉めて、ゼロスの方を向いた


「大変だね、ゼロス」

「あぁ。マジでな;;」

「ほらほら、フェルバジルナーク卿、早くおくれ♪」

「・・・・・・仕方ねぇ。良いか、絶対、アイツらに見せるなよ。特にスリザリンには。俺が殺される;;」

「良いよ、良いよ♪我輩もスリザリン卿には殺されたくないからねぇ〜。で、何をくれるんだい?」

「・・・裏で極秘に入手した、ゴドリック・グリフィンドール&フラウ・グリフィンドールの隠し撮り写真オンパレード!」

「おぉ〜♪」

「・・・どこで入手したんだい;;」

「・・・まぁ、色々とな;;」

「ヒヒヒッ♪着替え、寝顔、食事、入浴・・・ヒヒッ♪これはッ!?」


ある写真を見て、プルプル震えてからエクシアヴァートは、これでもかというほど、歓喜の叫びを上げた。その声に外に居たゴドリック達(特にゴドリック)はビクリッと肩を震わせた


「な、なな、何だ?!」


ガチャッと扉を開けて、レオスが「入って良いよ」と言った。中に入るとエクシアヴァートがピクピク痙攣しながら、荒い息遣いをしていた


「ヒ、ヒヒヒッ・・・げふっ・・・あぁ〜、良いよ〜・・・ハァハァ・・げふっ」


ゴドリックを見て、バッと後ろを向き、さらにピクピクッと肩を揺らして、ハァハァとしているのでゴドリックは悪寒が走り、ゾクリッと身を震わせて、涙目でサラザールの後ろに隠れた


「な、ななな、何なんだよ〜;;」
(怖いッ、何か分からないけど、スッゲェ怖いッ!)

「げふっ・・・いやいや、いいよ〜♪フェルバジルナーク卿〜〜、もう、何でも聞いてぇ〜」

「・・・・・・マジで避けたい道だったぜ。まぁ、良い。とりあえず、その古城の場所、教えろ。あと城主の名とか、詳細を教えろ、エクシアヴァート」

「ヒヒヒッ、良いよ。良いよ。何でも教えるよ〜。そうだねぇ、城主の名は『ガイリオス・フェイルターナ=ホグワーツ』。古城は、マグル避けなどの結界、あと傍に湖があるらしい。しかも、湖には水中人(マーピープル)や水魔(グリンデロー)、大烏賊。周囲の森にはケンタウロスや他にも多くの魔法生物が居るらしいよ」

「・・・まさに、魔法の城だな」

「ガイリオス・フェイルターナ=ホグワーツ、か」

「何か知っているのか?レオス・フェルレオナーク」

「昔、一度ね。会ったことはあるよ。父の知り合いだ」

「あぁ。俺も会ったことあるな。親父の知り合いだとか言ってたな。とんでもない変わり者だって言ってたぞ」

「変わり者?」


ゴドリックが首を傾げれば、ゼロスが答える


「何でも、人との関わりを最低限にしたい奴らしくて、人もまず立ち入ることの無い場に住んでいるんだそうだ。しかも、住んでいると分からないような魔法も施してあるって話だ」

「へぇ〜」

「とにかく、そいつは、すぐに来てくれてかまわねぇって言ってるんだし、梟便でも送って、明日にでも行くとするか」

「ヒヒヒ、何なら我輩が知らせてあげようか〜。報酬的に等価交換では、今の情報のみだと不釣合いだからねぇ〜」

「何だ、エクシアヴァート。オマエ、知り合いなのか?」

「ヒヒヒッ、あぁ。彼の数少ない友人の1人さ」

「・・・オマエを友人にしてる時点で、変わり者だって思うぜ」


ゼロスの言葉に4人は、うんうんと頷いた。翌日、レオスは魔法省大臣の為、不在。5人は周囲を森や湖で覆われた場所にある廃墟の門前に来ていた。ゼロスも仕事があるが目的地に行くまでは同行するらしい


「なぁ、サラザール。本当に、こんな所なのか?待ち合わせ場所って」

「指定場所に間違いは無いはずだが」

「此処なら、マグルもですが魔法族も滅多に立ち入らないでしょうね」

「そうよねぇ。こんな山奥だし」

「・・・・・・お待ちしておりました」


突然、掛けられた言葉に6人はバッと廃墟の門の方を見ると其処には、執事の服の男。前髪が金メッシュに黒髪、深い海のような青い瞳に右目にはモノクルを付けている


「御初にお目にかかります。ガイリオス公爵執事、シュバルツにございます。エクシアヴァート様より御連絡のあった6大貴族の方々ですね。我が主の城へご案内いたしましょう。さぁ、こちらへ」

「え?でも、廃墟じゃ」

「今は、魔法族にもそのように見えるようにしております」


パン、パンと手を叩けば、今にも崩れそうな門は、立派な構えの門に変わり、目の前に見えていた廃墟は消え、道が現れた
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