紅獅子 物語

□番外 ホグワーツとの契約
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ホグワーツ城でゴドリックは目の前の生き物にパチクリしていた。今此処は、彼の自室で彼はベットの上に居た。実は、ついさっき起きたばかりなのだが、ベットに、自分の傍に何か気配を感じて、目を覚まして、目の前の生き物に驚いた。ベットには、小さな掌サイズとはいかないが、小さなぬいぐるみくらいの大きさのドラゴンがすやすやと眠っているのだ


「・・・なんで?;;」


モソッと身じろぐも起きる気配の無いドラゴンを指でつんつんと突いてみる。ドラゴン独特の鱗が現実であると告げている。その時、パチッとドラゴンの大きな蒼い空色の瞳が彼を見た


「・・・あ;;」

【むぅ〜〜・・・ぁ、おはよぅ〜】

「え?あ、お、おはよう;;」

【うぅ〜、まだ、朝早いよぉ〜。ていうか、眠いよ〜、寒いよ〜。寝よ〜よぉ〜】


わなわなと震えながら、彼はホグワーツに響き渡るくらいの大きな声を出して、ある人物の名を呼んだ


「・・・・・・・・・・・・サラザールぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」


「・・・・・・喧しい」

「ホント、ゴドリックにしては早いわね。いつもは昼近くまで寝てるのに」

「ホントですわね。でも、どうしたのかしら?朝から」

「・・・」
(・・あの子が悪さをしたのかな?)


ドタドタと回廊を走る大きな足音。大広間に近づくその音は扉の前まで来るとバターンと大きな音と共に扉が開かれた


「サラザール〜〜!!!」

「えぇい!喧しいぞ!!ゴドリック!珍しく朝早くに起きたのなら、もっと静かに起きないか!」

「静かに起きれるか!こんなのが居たのに!!」

「「「・・・は?」」」


バッと彼らの前に両手で掴んだそれを出した。彼らの前には、ゴドリックに掴まれている翼の生えたドラゴンが首を傾げながら、くわっと欠伸をしている


「・・・ゴドリック。貴様、ホグワーツにドラゴンを持ち込んでいたのか?いや、何時ドラゴンを持ち込んだ?」

「持ち込むわけ無いだろう!俺のじゃない!」

【うん。僕は、彼のものじゃない】

(((喋った?!)))

「おやおや、出てくるなんて珍しいじゃないか?ホグワーツ」

「「「「え?」」」」

【?やぁ、ガイリオス。君も居たんだ♪おはよう〜♪】

「あぁ、おはよう」


キュァッ♪と可愛い鳴声と共に発せられた声にガイリオスは、普通に答えた


「ガイリオス・フェイルターナ公爵」

「何かな?スリザリン」

「貴様、このドラゴンを何と言った?」

「ホグワーツ、と言ったのだよ、スリザリン」

【耳、遠いの?君】

「・・・・・・・・・蒲焼にしてやろうか?」

【良いけど〜、そしたら、この城、壊れちゃうよ。僕は、この城そのものだもん】

「え?城、そのものってどういう意味?」

「そのままの意味だよ、グリフィンドール。彼は、精霊竜ホグワーツドラグーン。この城の核であり、魔力の源」

【そうだよ。僕はホグワーツ。僕はこの城そのもの。城の魔力は僕の魔力。城が傷つくと僕も傷つく、その逆もそう。僕はこのホグワーツ城】


どうだと言わんばかりに翼を広げるホグワーツと名乗ったドラゴンはゴドリックの手から、するりと抜け出すとテーブルの上に着地した


「なぁ、何で俺のベットに?」

【僕はこの城だからね。何処へだって現れる】

「いや、そうじゃなくてなんで、俺のベットに居たんだって話;;」

【ん〜、だってぇ〜、君、すっごく暖かい魔力なんだも〜ん♪】

「は?」

【で、君達がこれからの僕の主ってことなのかな?】

「そうであり、そうでないと言えるかな」

【何か、はっきりしないね?どういう意味?僕をどうしたいのか。ちゃんと聞こうとも思ったから来たんだけど】

「あ、そうだよな。この城がオマエなら、自分のことだもんな」

【そうだよ】

「俺達は、此処を魔法学校にしたいんだ」

【学校?】

「あぁ。魔力を持つ子ども達の為の」

【・・・つまり、僕は校舎ってわけ?学び舎ってこと?】

「あぁ。そうなる」

【ふぅん。僕を家とかにする人は居たけど、そんなふうにする人は初めてかなぁ〜・・・あ、そうでもないか。学び舎なら、僕、2度目だ】

「え?2度目って、どういうことだ?」

【僕、家にするには広いと思わない?】

「確かに、広いわよね。これで家は、いくらなんでも広過ぎるわ。それに、部屋数も多いし」

「寮にするには最適な部屋、大人数が入れる大広間、図書室。城内を見た時にはまるで、学び舎となるために造られたようにも見えましたわ」

【造られたようにじゃないよ。元々、僕はそう造られた。学び舎となるべく造られたんだ】

「何?貴様の城主は、ガイリオス・フェイルターナ公爵ではないのか?」

【彼は、現城主だよ。僕の創主じゃない。まぁ、創主の遠い遠い血筋ではあるけどね。学び舎だったのは、ずっと昔。魔法族も少数だった頃。創主がまだ存在していた頃。フェルレオナーク家もフェルバジルナーク家も築かれて間もなかった頃】

「創世記の頃ということか?」

【そうだよ。僕の創主は、スペリオル・フェルゴドルナーク。魔法族の祖というべき存在。フェルレオナーク家とフェルバジルナーク家はフェルゴドルナークが分かれた家系さ。スペリオルは、少数だった魔力を持つ者達に自分の知る知識を与えた。僕はその与える場として彼に築かれた。つまり、僕、ホグワーツは、学び舎として築かれたというわけ。だけど、知識も広まったから、彼は与えることを止めた。以後、僕もそうではなくなったんだ】

「どうして、止めたんだ?」


そう聞くゴドリックに精霊竜は答える


【与えるのは基礎のみ。それ以上を与えては、自分が居なくなった後に発展されないかもしれないと彼は考えたから。だから、止めたんだよ。だけど、まさか、1000年近くも後になって、また当初の目的に戻るなんて、思いもしなかったけどね〜。で、君達は、礎の誓いはするの?】

「礎の、誓い?」

【僕と一体化する古代の契約魔法だよ。僕と一体化することで魔力も一体化する。この城と全てを共有することになる。ホグワーツが危機に陥った時、この魔法を使用することで城へのダメージを軽減することが出来るし、崩壊を食い止めることも出来る。ただし、身体が耐え切れなかったら、死ぬこともある・・・・・・どうする?】

「・・・・・・俺は、する」


ゴドリックは、逸早く答えた


「それで、生徒を護れるなら、俺はする」

「・・・貴様なら、やりかねんな。だが、ゴドリック、オマエだけさせる気は無いぞ」

「そうよ。此処は、私達の学校でしょ〜」

「皆で築くものなのですから」

「・・・・・・あぁ♪」

【全員、契約するんだね】


バサッと翼を広げるとその姿はぬいぐるみサイズの幼竜からキリンくらいの大きさのドラゴンへと姿を変える


【では、契約を交わそう。我が名はホグワーツ。神の眷属により築かれし者なり。我と共に、我となりしことを望む者よ。名を告げよ】

「・・・ゴドリック・グリフィンドール」

「サラザール・スリザリン」

「ヘルガ・ハッフルパフ」

「ロウェナ・レイブンクロー」


告げるとドラゴンの周囲に赤、黄、緑、青の宝玉のようなものが円を描いている。4人はそれが自分達と同じ魔力を感じていた


【名と共に魔力の一部の共鳴。これを以って契約と成さん】


ドラゴンの咆哮と共に大広間の天井に魔方陣が描かれ、眩しいほどに輝き弾けた。彼らが目を開いた時には、また幼竜の姿に戻ったドラゴンがニコニコしているように見えながら、ちょこんとテーブルに座っていた


【契約、完了♪ってことで、これからよろしく〜〜♪】

「・・・なんか、成長してからと感じ違いすぎない?;;」

【失礼だなぁ〜、何にも変わんないんだよ〜。僕は僕だもん・・てことで、今日も寝よ♪】

「はい〜?!;;」

「・・・何を考えている。このチビ竜が」

【チビ言うな!僕はオマエなんかよりずっと長生きさんなんだぞ】

「我より長く生きているくせに、チビなままか」

【・・僕、怒らせたいんだ、この馬鹿蛇】

「馬鹿は貴様だろう?あぁ、ついでに阿呆だったか?チビ」


バチバチと火花を散らすサラザールと精霊竜。ゴドリックは2人に挟まれてビクビクと震えている


「結局、2人ともゴドリックを取られたくないってことよね?」

「そうなりますわね」

「そうだね。気に入られたのだろう?グリフィンドールは」



「「「大変(ね)(ですね)(だね)、ゴドリック・グリフィンドール」」」

「・・・人事みたいにいうなよ」

「「「人事(だもん)(ですわ)(だからね)」」」

「・・・・・・なんで、俺;;」


はぁ、とゴドリックは盛大に溜息を吐いたのだった



『ホグワーツとの契約』
Fin
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