遊戯王夢

□冒険のルール1 〜装備品を集めよう〜
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羅戯亞さまに捧げる相互記念夢。
 RPG風味パロディでギャグ甘。
 1ですが続き物ではないので注意。





ファイブディーズ王国―――近隣国と比べると国土面積は狭く、人口も多いとはいえないが、
機械や文明に発達しており、内部戦争などもなく国民は平穏に暮らしていた。

……が、この平和ボケ同然の国にも危機が訪れようとしていた!


なんと近隣国のサティスファクション帝国が、このファイブディーズ王国を乗っ取ろうとしている――との情報が入ったのだ。

サティスファクション帝国というのは、魔王キリュウが統治していて、
国民という名の信者は毎日「満足」か「サティスファクション」をワンハンドレッド=百回唱えることを義務とされており、
国から支給された変なベストとマントを着用し「デュエッ!」とカードをドローする事が日課となっている意味不明でアホな国の事である。
しかし、満足まみれのくせに結束力は固く、何故か軍事力も強いので近年勢力を伸ばしている国でもあった。


そんな国が、平和ボケボケなファイブディーズ王国に進入されたら間違いなく言いなり(というかアホ)になってしまう!!


国の大ピンチを察知したファイブ(略)の現国王・ブルーノは、冒険者(という名の資格を持つ)四人を至急お城に集めたのだった――。







「さてさて、よく来てくれたね! チーム『噴水広場仲良し連合』!」


やって来た冒険者四人をニコニコと笑顔でD・ホイールを弄りながらブルーノはあたたかく迎えた。
呼び出された冒険者の一人、戦士ジャックは早速目の前の国王を殴り飛ばしたい気持ちをグッと堪え、拳を握り締めた。
どうでも良い情報だが、ブルーノ国王は無類のD・ホイール好きとして非常に有名である。



「その名前で呼ぶなと言っているだろう」

「しょうがないじゃない。チーム名を登録する時にそういう名前になってたんだから」

「クッ……元はといえばクロウ! 貴様が先に変に入力したのだから、こんな名前になったんだろう!」

「し、仕方ねぇだろ! 冗談だと思ってたんだから! 大体わざとじゃねーんだし」



盗賊ことクロウはぶっきらぼうに言い放つと、フンとジャックから顔を逸らす。
全く反省していない様子にジャックは怒り、胸倉を掴みにかかるが、慌ててシスター兼一応今回のヒロインである優香が二人の間に止めに入った。



「喧嘩は駄目だよ、ジャック!」

「ムッ、優香……」

「優香の言う通りだ、ジャック。俺達は言い争いをしている場合ではない……ページ数の関係で今回は時間がないんだぞ!」



序盤から内部事情をドンッ☆と後ろに効果音でもつきそうな勢いで言い切った召喚師こと遊星さん。
いくら何でもここでその台詞は無いだろうとジャックは「メタな事を言うな」と冷静に突っ込むが、
全員完璧なスルースキルを発動し、いよいよ話は本題に入ることになった。



「実は君達を呼んだ理由はね、冒険者である君達にサティスファクション帝国の魔王キリュウを倒してもらいたいんだよ」

「「「「はぁ?」」」」



いきなりの頼みに四人全員素っ頓狂な声を上げて聞き返してしまった。
ちなみに呼び出しておいて自慢のD・ホイールを念入りに拭きながら頼むブルーノの態度については、こんなんでも国王だから四人は何も言わないことにしている。
サティスファクション帝国、という名に少し覚えのあるクロウは「ああ……」と面倒そうに話し始めた。



「確かなんかそんな国が今勢力伸ばしてるらしーな。まぁ、ああ見えてビンボーらしいからどうでもいいけど」

「へー、私はそんなダサい国聞いたこともないや。遊星は何か知ってるの?」

「さあ……、俺の知り合いの異国の奴が迷惑がっているのは知ってるが」

「いずれにせよ、俺達の耳に届いていなかったのだから、大した奴ではないという事だ」



次々とサティスファクション帝国や魔王キリュウに対して様々な酷評が飛ぶ中、
ブルーノは拭き終わった相棒・修正テー……じゃなかったデルタイーグルに優しく慎重にそっと触れながらため息を一つ吐いた。



「いやー、それがそうじゃないんだよね。今の魔王キリュウは信者を増やして、この国に着々と迫ってるらしいんだよ」

「で、国の危機って訳だから俺達にそいつらを倒せって事か? 国王さんよ」

「うん、話が早くて助かるね。まぁ、そういう事だからさっさと魔王なんたらを倒しに行って来てよ」



どっこらせと工具箱を持ち出してガチャガチャと部品を探しながらブルーノは四人に告げた。
念のために言っておくとこれは国王命令である、もちろん態度は国王だから問題ない。
といっても、もちろん素直に「はいはい行って来ます」と言う連中でもないので、すぐに四人からは「無理」という意味を込めた返事が返ってきた。



「断る」

「冒険なんか行ってる暇ねーよ。ガキ共の世話は誰がすんだよ」

「私もー、シスターとしての窓口相談の依頼が沢山あるの」

「俺は構わんが、こいつらが行かんなら行くつもりはない」



どれもこれも自分勝手な理由である……というか一番先に言った遊星は理由すら言っていない。
相手は一応国王ではないのか、遊星さん。
このそっけない返事(特に遊星)に、流石に「やさしさ」のパラメータが一億ある――かもしれないブルーノも、堪忍袋の緒がブチ切れた。
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