遊戯王夢

【ブルーノの場合】
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「うわあ、すごいね! これが生で見るイルカかぁ!」



隣にいる私の好きな人――ブルーノくんは、まるで子供のようにはしゃいで、
目の前のイルカショーをキラキラと目を輝かせて見ていた。

本日、私たち二人は新しく出来たばかりの水族館に来ていた。
ブルーノくんは私のことをどう思ってるかは分からないけど、
一応、立派なデートということにはなるので、私の方は内心ドキドキしていた。

……が、ただこのブルーノくん、生でイルカを見るのは初めてらしく、その辺の小学生よりイルカショーを私そっちのけで楽しんでいる。
特別出演のアクアドルフィン(の着ぐるみを来た人)の芸にも、
周囲はドン引きだったのに関わらず、一人大感動して拍手を送っていたのだから驚きだ。


――まあ、そういう天然なところもブルーノくんの魅力の一つなんだけどね!


イルカのショーよりもブルーノくんの姿をニコニコして眺めていると、
突然ブルーノくんの身体に水がかかってきた。
どうやらイルカがジャンプした時の水しぶきがブルーノくんにまで届いたらしい。



「だ、大丈夫!? 服まで濡れてるよ!?」

「これくらい濡れたって平気だよ。イルカが元気だっていう証拠だしね」



肩まで濡れているというのに全く気にしていない様子で苦笑しながらブルーノくんは答えた。
本人は平気だといっても、私は風邪でも引かれたら困るので、カバンからマシュマロンの刺繍が入ったハンカチを取り出すと、
すぐにブルーノくんの身体の濡れた部分を拭きはじめた。



「わわっ、僕は大丈夫だって!」

「却下。だってブルーノくんが風邪でも引かれたりしたら困るもん!」



ごしごしとブルーノくんの肩を拭いていると、彼の頬はほんのり赤くなって私の方をじっと見ている。
よしイルカに勝った!、なんて密かに優越感に浸りつつ、
ある程度乾いてきたところで、私はブルーノくんの身体からハンカチを離した。



「はい、これで大丈夫だと思うよ」

「ありがとう。君のそういう優しい所、僕は好きだよ」

「!? ぶ、ブルーノくん、いいい今、好きって……」

「あ、次はイルカとふれあいタイムだってさ。小学生限定なのがちょっと残念だな〜」



私の言葉はあっさりスルーされたというか、それとも気付いていないのか、
ブルーノくんはハハハと笑いながらイルカショーを再び鑑賞し始めた。


(今のって、さり気に告白……だよね!?)


もちろん単に私の優しい所か友人や仲間としての意味かもしれないけど、
好きな男の子に笑顔で好きと言われたら気にせずにいられる訳がない。
今の私の真っ赤な顔をブルーノくんが見たら……どう思うだろう。

それからというもの、私はイルカショーに集中できず、
隣でイルカショーを純粋に楽しむブルーノくんにしか視界に入らなかったのだった―――。



fin.

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