遊戯王夢

□シンデレラ・ガール!
1ページ/11ページ

逆ハーでシンデレラパロディ風味なお話。落ちは当然あのキャラ。
※三万HIT記念フリー夢となりますので、
 ご自由にお持ち帰りください(あとがきは省略可)





昔、あるところに優香という名の美しい少女がいました。

優香には、お義父さまと二人のお義兄さまがいました。
もともと優香は孤児でしたがお金持ちのユニコーン家に養子として迎えられ、本当の家族同然に愛されて、優香は心から三人に感謝していました。

しかし、問題なのはこのお義父さまとお義兄さま二人は優香を溺愛しすぎているということでした。
優香が十六になった今でも優香への愛は薄らぐどころかますますひどくなっていき、最近の優香の悩みのタネになっていたのです―――。




「……うん。今日こそ大丈夫」



屋敷と外の世界と繋がっている門の前で、優香はキョロキョロと辺りを見回し、父や兄がいないことを確認しました。
ついに外に出れる―――と、優香が門に手をかけようとした瞬間、誰かに力強く腕を掴まれてしまいました。



「何処に行くつもりだ? 優香」

「お、お義父さま……じゃなかった、ジャン。わ、私は新聞を取りにいこうと……」



優香の言い訳も虚しく、ジャンは優香の手を掴んだまま離しません。
ちなみに、ユニコーン家ではお互いに名前で呼ぶことを決まりとしていて(※三人が優香に名前で呼ばれたいだけ)、優香には名前で呼ばせていました。



「新聞ならとっくに取ってあるだろう? 外には出るなとあれほど言ってあるはずだ」

「むー……、だって私、一度もここから出たことないんだよ? 私だってもう十六だし、そんなに心配しなくても大丈夫だか」

「いや、絶対駄目だっ!」



優香の言葉を遮るように叫んで、優香の前に現れたのはお義兄さんのアンドレとブレオでした。
またか……優香はとうんざりした顔をしましたが、アンドレとブレオは全く気づいていない様子でした。



「外の世界は狼のような男ばかりいるんだぞ。そんな連中に可愛い義妹である俺の優香を奪われてたまるかっ!」

「ああ、同感だぜ、アンドレ……。優香、外はお前を狙う危ない男ばかりだから絶対に行くな。優香には俺たちが傍にいるから外に行く必要はないんだ」



ブレオは棒立ちの優香の肩をがしっと掴み、隣のアンドレやジャンもうんうんと頷き始めます。
ブレオたちの言うとおり、優香はユニコーン家の屋敷に住んでからというもの、一度も外に出ることを許されていませんでした。



「うーん……分かったよ。今日はもう寝るね」



この三人と外に出ることについて話し出すと駄目の一点張りなのは目に見えているので、渋々優香はジャン達と屋敷の中に戻りました。
優香が自室に戻る際に、



「なあ、優香。今日は俺の部屋で寝ないか? 添い寝してやるよ」

「なっ、アンドレ、何言ってやがる! 俺が先に言おうとしてたのに! 優香は今日は俺と寝るんだよっ」

「やれやれ、駄目な義兄達だな……まったく。優香、今夜は俺の部屋に来い」



と、それぞれ三人に口説き文句まがいの台詞を言われましたが、優香は「もう一人で寝るから」とキッパリと言い放って自室の扉をバタンと閉めました。
それから窓を開け、夜空にキラキラと輝く星空を眺めながら優香は一つ溜息をつきました。



「はぁ、私も一度で良いから外に出てみたいな〜……」



当分は叶いそうにもない願いをポツリと呟き、しばらく優香は窓から映る外の景色を眺めることを止めませんでした―――。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ