遊戯王夢

【薔薇の花束】
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「わあ、アキちゃんどうしたの? その綺麗な薔薇」



アキちゃんが突然持ってきた綺麗な赤い薔薇の花束。
花とは無縁のガレージの中で、その薔薇の良い匂いは新鮮だった。
アキちゃんは何も言わず、私の前へ薔薇の花束を差し出した。



「あげるわ、あなたに」

「え、私に!? い、良いの? こんな綺麗な薔薇の花束を私なんかに……」

「ええ、それとも薔薇じゃ不服だったかしら?」

「う、ううん! アキちゃんありがとう!」



差し出された花束を恐る恐る受け取る。
その瞬間、薔薇の香りに全身を包まれたような気がした。甘い上品な香りだ。
薔薇どころか花束なんて初めて貰ったから、なんだかアキちゃんからでも気恥ずかしいや。



「でも、どうして急に?」

「ふふ、――薔薇の花言葉って知ってる?」

「えーと、……何だっけ?」

「『あなたを愛しています』、今の私の気持ちを伝えたかったの」

「ふえ……ふええっ!?」



あ、アキちゃんが私を愛してる!?

一人で顔真っ赤になってる私を見て、アキちゃんはくすくすと笑いだした。



「もちろん親友としてだけど」

「……あ、そ、そうだよね……」




ほんの一瞬だけアキちゃんに本気でときめいたのは内緒です。



fin.

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