遊戯王夢
□ときめきキューピット
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「ちょっと待て! 俺は聞いてねえぞ、んな話!」
クロウはつい声を荒げて優香へと問う。
「あれ、クロウに言ってなかったっけ? 遊星達には言ったんだけどなぁ……」
優香はクロウとは視線を合わせようとせず、とぼけた口調で言った。
自分には話さず遊星達には言っている事に、クロウは大きく眉をしかめたが、
それより今はボマーの家に行って何をしていたかだ。
本当に遊びに行っていたのならまだしも、もしも……という微かな不安がクロウを襲う。
「遊星だけかよ……それよりもボマー! その家ん中で優香に、その……何もしてねえだろうな!」
クロウより数倍は大きい身体をしているボマーにビクともせず、ギロリと睨んでクロウは言い放った。
ボマーは予想通りの反応を示したクロウに、フッと思わず笑みを零す。
「私と優香がそんな関係だと思うか? ただ相談に乗っただけと言っただろう」
「うっ……ま、まあそうだが、その相談って何なんだよ」
「それは私より優香に直接聞いてみたらどうだ?」
ボマーに横目で見られ、突然話を振られれた優香は「えっ」と驚くと、
しばらく口ごもって、俯いてしまった。
急に口ごもった優香にクロウは訳が分からず、ボマーに理由を聞こうとすると
既に彼はヘルメットを被りD・ホイールに乗っていた。
「お、おい、ボマー! もう行くのかよ!?」
「そろそろ私も時間でな。クロウ、優香の事をよろしく頼むぞ。それと――優香」
名前を呼ばれ、ボマーの方へと俯いていた顔を上げる優香。
ボマーと一瞬目が合い、何時になく真剣な目つきに優香は神妙な表情を浮かべた。
「告白、優香ならきっと上手くいくはずだ」
軽く微笑んで優香に告げると、D・ホイールのエンジンを掛け、ボマーはその場を立ち去って行った。
クロウと優香は彼の姿が見えなくなるまで、しばらくその姿を見送った。
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