遊戯王夢
□ときめきキューピット
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――ネオ童実野シティ郊外付近。
シティ中央部と比べ人影は少ないのだが、旅を始める者など新しいスタートを踏み始める者の姿を見かける事ができる。
そして、ここにも今新しいスタートを踏み始めようとするボマーの姿があった。
「わざわざ私の見送りになどいらなかったものを」
荷物をD・ホイールに載せながらボマーが言うと、
優香とクロウはその荷物を乗せるのを手伝って口を開いた。
「だってボマーさんが旅に出るって聞いて、いてもたってもいられなくて」
「ああ、遊星やジャックは鬼柳の方に見送りにいったし、ボマーの方にも行ってやらねえとなと思って。
お前は俺達の『仲間』なんだからよ」
「優香、クロウ……」
一度は自分は死してダークシグナーとなりこの二人を傷つけ、操られていたといっても自分が限界まで追い詰めたのは事実。
本来ならばこうやって見送りになど来てくれるどころか、
『仲間』と呼ばれる資格もあるはずもない。
だが、優香とクロウや遊星達はダークシグナーへ堕ちた自分のやった過ちを許してくれた。
ボマーはあまり表情には出さないが、心から二人に感謝していた。
荷物をD・ホイールへとすべて置くと、優香は何か思いだしたようにボマーの方へと振り返った。
「ボマーさん、旅に出るって暫くはこっちに戻ってこないって事だよね?」
「ああ、私はもう一度自分を見つめ直し、故郷へは一度戻ろうと思う」
「そっかー……。しばらくボマーさんと話できないのかぁ。子供さん達にもよろしくね」
ボマーが暫くは戻ってこないと聞いて、優香は少し残念そうに呟く。
それを見たクロウは、面白くない様に眉をしかめた。
「なんだよ、ボマーと話って」
「あ、ボマーさんとはね、いろいろ相談とか乗ってもらってたんだ」
ね、とボマーの方を向いて優香が訊くと、ボマーは静かに頷いて付け加える。
「ああ、優香とはこの前まで二人でよく会っていた」
「ふ、二人!?」
「うん、3日前くらいはボマーさんの家に遊びに行ったよ」
「はああっ!?」
次々と飛び出る驚愕の事実に、思わずクロウは素っ頓狂な声をあげた。
優香がボマーの家に行った事どころか、ボマーと二人で会っていた話など一度も聞いた事もない。
優香とボマーは、今回まともに話すのは初めてだろうと思っていた矢先の事実だった。
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