ワールドブレイク

□ワールドブレイク 4
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―――デュエルモンスターズ

さまざまなモンスターや魔法・罠カードを駆使して敵のモンスターを打ち負かし、相手のライフをゼロにし勝利することがこのゲームの目的です。
使用するカードには、たくさんの種類が存在します。
まずは、その中からカードを選び、あなただけのデッキ(ゲームで使用するカードの束)を構成してみましょう。




「……いや、いきなり構成なんて無理でしょ」



思わずPCの画面に写る文章に突っ込んでしまった。



ジャック・アトラスとデュエルモンスターズで三日後に対戦することになってしまった私は、翌日の朝からネットでデュエルについて研究していた。
あの悪夢のような一日は夢だと信じたかったけど、あいにく私のプライドもかかっている為、大人しく現実を見ることにした。
たかがカードゲームで、負け犬呼ばわりなんてまっぴら御免だ。
プライドを懸けたからには絶対に負けられない。

幸いにも、私の通うネオ童実野学園は公立高校で土曜も休みであり、まずは今日一日でルールを把握しようと決めた。
初めは、「たかがゲーム。三日もあれば、なんとかなるでしょ」と高をくくっていたんだけど――――


それは私の大きな間違いだった。



「何このゲーム……なんでカードの色とか分かれてるの? チェーン? カウンター?」



実際にネットのHPなどで調べていくと、意味不明な単語や膨大なカードの種類、さらにややこしいルールの多さに驚いた。
さすがの私でも、このデュエルモンスターズというゲームを完璧に把握することは、悔しいが一日では到底出来そうにない。
とは言っても、ルールやカードの意味を理解しない限り、ジャックに勝つことなど不可能に近い。
仕方なく私は再びルールに目を通すが、訳の分からない単語を前にし、大きな溜息を吐いてしまった。



「てっきりシンプルなゲームだと思っていたのに、まさかこんな複雑なゲームだったなんて……あいつら、こんなゲームを平然とプレイしているワケ!?」



つい声を荒げてしまったが、冷静に考えてみると奴らが出来ることは(運動以外は)私にだって出来るはず。
ただ、この複雑なルールや膨大なカードの種類や効果をたった三日で把握できるかということが課題だ。


はたしてネットで調べるくらいで、ジャックに勝つことなんて出来るのだろうか。


最初はやる気だったが、複雑なルールを書かれた画面を見る度に不安や焦りが募っていく。

だけど、今日中にルールくらい覚えないと時間が…………

私が一所懸命に画面の前で悩んでいる矢先だった。



―――ピンポーン



ふいに玄関のチャイムが鳴る音が部屋に響き渡った。
まだ朝の八時にも満たないというのに、こんな時間に誰だろう。
ちなみに私は訳あって一人暮らしのため、チャイムに出られるのは私しかいない。
時間も時間で居留守を使おうとしたけど、とりあえずは相手の顔だけ見ようと、パソコンを閉じて立ち上がる。

それに何故か、無視する気にはなれなかった。

どうせ新聞の勧誘やセールスやロクな奴らに決まっているのに。
しかし、壁につけられたインターホンの液晶画面に映っていたのは、そんなロクな奴らどころでは無く―――



鬼柳京介。


私をこんな事態に巻き込んだ全ての元凶でもある男の姿だった。
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