ワールドブレイク

□ワールドブレイク 4
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「ぎゃぁぁああ!! な、な、なんで、アイツがいるのよ!?」



もう一度画面に写る男を確認してみたけど、鬼柳京介に間違いない。
あんなダサい紫色のバンダナを巻いている男など鬼柳以外、日本にいないだろう。
休日の朝から近所迷惑レベルな声を上げてしまったが、今はそんな事を気にしている場合ではなかった。
私が中にいると分かってか鬼柳が玄関の戸をドンドンと叩き始めたので、私はひとつ溜息をして嫌々ながらも通話ボタンを押した。



「………ちょっと、近所迷惑なんだけど」

『お、優香。ようやくお目覚めか?』


インターホン越しの私の声に気付くと鬼柳は、のん気な声で答え同時に戸を叩く音も消えた。
やはり私をインターホンに出させる為にやったらしい。


「お目覚めって私は朝六時から起きて……じゃなくて、なんで私の家を知ってるワケ!? あんたに教えた覚えが無いんだけど!」

『そりゃ俺は優香のことなら何でも知ってるからな。勿論スリーサイズもバッチリとよ』

「ウソッ!?」



鬼柳の言葉にゾッと寒気が走り、咄嗟に自分の肩を抱いた。
家の場所もスリーサイズも知っているとか、か、完全にストーカーじゃない!
しかし、私が肩を抱いた途端、画面越しの鬼柳は軽く吹き出した。



「な、何なの、急に」

『いや、流石にスリーサイズは嘘に決まってんだろ。まあ、触ったら分かるけどな』

「〜〜〜ッ、サイテー! 誰が触らせるかっ!」

『ちなみに家の場所は、俺が独自に調べさせてもらった。リーダーがメンバーの家くらいは知っておくのは当然だろ?』



……と、ウザ爽やかに聞かれても、知っておく以前に私はまだ正式メンバーではない。
もちろん、サティスなんたらのメンバーになるつもりも一切無いんだけど。
でも、どうやって鬼柳が私の家まで突き止めたのかが謎だった。
私が一人暮らしをしている事実は学校でもごく一部の人間しか知らないはずなのに……。
とりあえず、この鬼柳京介という男を侮ってはいけない、とほんの少しだけ感じた。少しだけね!



「まあ、家のことは後にして……何しにここに来たのよ? 私としては一秒でも早く帰って欲しいんだけど」

『お前のために来たってのに、そう寂しい事言うなよ。優香が困ってるんだろうと思ってリーダー直々に助けに来てやったんだぜ』

「助けに?」

『ああ、俺が教えるって言っただろ? デュエルモンスターズを』



そういえば、昨日にカードショップで鬼柳が「俺が教える」とか言っていたっけ。
あの時は、どうせ場のノリで口にした嘘だと思っていたけど、まさか家まで突き止めて教えに来るなんて予想外だった。
誰かに教えてもらえる!と思わずパッと顔を明るくしたが、その相手が鬼柳だということを思い出し、ブンブンと頭を振った。


私の作り上げたプライドの為といっても、よりによって鬼柳に教えてもらうというのは―――……
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