遊戯王夢

□シンデレラ・ガール!
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「じゃあ、私はジャンやアンドレ達に見つからないようにこっそり先に行くから、遊星も後から来てね!」



遊星と二人で屋敷から抜け出すのには目立つと考えた優香は、まず自分が先に行くことにしました。
優香が出て行った後、遊星とアキが部屋に残され、静かに遊星が起き上がると、アキに向かってこう問いました。



「……俺も十二時になったら効果が消え、元のカニに戻ってしまうのか?」

「バカね、外で元のカニに戻ったら死んでしまうじゃない。それに、あなたに発動した魔法は永続魔法カードだから心配することはないわよ」

「そうか、ありがとう」

「あっ、そうだ。あなたにこれを渡しておくわ」



思い出したようにアキは遊星に一枚のカードを渡しました。
遊星がカードに目を通すと、そこには『サイコデュエリスト・十六夜アキ。あなたの願い叶えます! 相談料は一時間一万DPから』と大きく書かれてありました。



「………これは」

「安心して、今回は私の個人的なことだから相談料は取らないわ。ただし次回から―――」

「そろそろ優香の後を追ってくる」



アキの話が商売絡みになってきそうだったので、遊星は早足で部屋を出て行きました。
幸いジャン達はまだショックを受けているようで、優香と遊星が屋敷を出ても気付くことはありませんでした。
屋敷の前で優香と合流した遊星は、アキが用意した遊星号に乗り、優香を連れてお城へと急いで向かいました―――。




三十分後、お城に到着した遊星と優香は遊星号を降りて、屋敷と比べ物にならないほど高くそびえ立つお城を見上げました。



「これが王宮のお城かぁ……窓から見るのより大きさや迫力が違うや」

「優香、俺はここで待っておく。十二時までには戻って来るんだぞ」

「うん、分かった! 必ず戻ってくるね!」



遊星に向かって手を振りながら、優香はお城の中へ入って行きました。
お城の中では既にダンスパーティーが始まっており、王子が生涯のパートナーを選ぶということもあり沢山の女性が集まっていました。
しかし優香が入った瞬間、周囲の人々は優香の突出した美しさに騒ぎ始めましたが優香は気付くこともなく、のん気に料理を食べ始めていました。



(女の人ばっかりだけど、結局これってどんなパーティーなんだろ……?)



パーティーがあること以外何も知らない優香は、辺りに女性が多いことを不思議そうに見渡しているだけでした。



「よっ、お嬢さん」



突然声をかけられ、食べていた手を止めて優香が振り向くと、爽やかな笑みを浮かべた鬼柳が立っていました。
もちろん鬼柳の存在すら知らない優香は目をぱちくりとさせます。



「こんな可愛い子がいたとはな! どこの家のお嬢さんだ?」

「は、はあ。ユニコーン家の者です」

「ああ、ジャンやアンドレやブレオが大切にしてるっていう女の子か! こんだけ可愛いけりゃ大切にもしたくなるな。っと、俺は鬼柳京介。なあ、俺とこれからイイ事しねぇか? 満足させてやるぜ……?」

「あ、あの……」



鬼柳に両手を握られ、低い声で耳元でささやかれた優香は顔を赤くさせて困っていると、ふいに鬼柳の頭に何者かのチョップが見事クリーンヒットしました。
思わず鬼柳は優香の手を離して、頭を抑え振り返ると、そこには―――。
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