遊戯王夢
□シンデレラ・ガール!
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突然の誰かの声に優香が驚いて振り返ると、そこには魔法使い――というより魔女の格好をした自分と同じ歳ほどの女の子が立っていました。
女の子の腕にはデュエルディスクが装着してあり、どうやらジャン達と同じデュエリストのようでした。
「あ、あなたは……?」
「私は十六夜アキ。あなたがこんな所に閉じ込められて可哀想だと思ったの。――ねえ、ちょっとハメ外してパーティーに行きたくない?」
「そりゃ行きたいけど、パーティー用のドレスはいつもジャンが預かってるし……」
「なら、私が用意するわ。魔法カード『ドレスアップ』発動!」
アキと名乗った少女は、優香を対象に『ドレスアップ』を発動させました。
優香の周りにボン!と煙が上がり、着ていた服が一瞬にして綺麗なドレスに変わりました。
そのドレスはジャン達が用意するものとは比べものにならないほど豪華なもので、傍目から見れば優香は何処かの国の王女さまにでも間違えられそうなほど、よく似合っていたのです。
「えっ、このドレスは一体……!? あ、あなた、何者なの!?」
「ふふ、私はサイコデュエリストでもあるのよ、これくらい朝飯前だわ。さあ、これでパーティーに行く準備は整ったかしら?」
「で、でも、お城に行くにはD・ホイールに乗る人が必要なの……!」
確かに優香の言う通り、お城まで行くにはD・ホイールに乗って行くことが必要でした。
しかし優香はライセンスを取っていないため、D・ホイールに乗ることが出来ません。
ジャン達もわざわざ乗せて行ってはくれないはずですし優香が困っていると、アキは余裕を持った笑みを浮かべてこう言いました。
「大丈夫よ、おまけでD・ホイールと乗る人もつけてあげる」
と、ウインクをしてアキはデッキからドローすると、魔法カード『変身』を発動しました。
その瞬間、ユウセイが住む水槽が割れて煙の中から、一人の青年が現れました。
青年の頬には見覚えのある黄色いマーカーが付けられており、なんとカニだったユウセイが人間に変身したのです。
一目見て青年の正体が、ユウセイだと分かった優香はビックリしたように目を大きく見開き、彼を指差しました。
「え、ゆゆゆ、ユウセイ……!?」
「俺はもうユウセイではなく遊星だ。――優香、ずっとこうやってお前と話したかった……!」
ユウセイもとい遊星は、優香をギュッと力強く抱き締めました。
義父や義兄以外の男と触れ合ったことのない優香は顔を真っ赤にさせて固まり、遊星がゆっくりと顔を近づけた――まさにその時、アキが遊星を優香から突き放すように蹴り飛ばしました。
「……ッ、いきなり何をするんだ」
「それはこっちの台詞よ。優香はそんな事している暇はないの。私が発動した魔法の効果は十二時までだから早くしなさい」
「十二時ってことは……えーっと、あ、あと四時間!?」
優香が時計に目をやると、既に八時を過ぎており、魔法の効果が消えるまであと四時間もありません。