遊戯王夢
□ずっと傍で、支えたい
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▼ユニコーン逆ハ―夢。
ヒロインはユニコーンのサポーターです。
※一部暴力表現を含みますので、苦手な方はご注意ください。
チームユニコーン――。
初めて彼らのライディングデュエルを見た時、私はそのデュエルに目を奪われた。
――彼らの計算された完璧な戦略や戦術、圧倒的な実力かつ熱くて真っ直ぐなデュエル。
いつしか彼らのデュエルの虜になり、同時にチームユニコーンの役に立ちたいと思うようになっていた。
そして厳しい試験を乗り越え、ようやくチームユニコーンのサポーターになる事ができた。
もちろんサポーターの仕事は大変だけど、この仕事に就けて幸せだし誇りも持っている。
憧れのユニコーンのメンバーの役に立てるのなら、どんなにつらい事があっても頑張ろうと思いながら―――。
「ブレオさん、昨日の記録用紙ですがまとめ終わったので見ていただけますか?」
ドリンクを飲みながら休憩しているブレオさんの前に、私は手に持っていた記録用紙を差し出した。
「おっ、さすが優香は仕事が早いな。どれどれ……」
記録用紙を手に取ったブレオさんは早速目を通し、しばらくの間考え込んだ。
ずっとブレオさんが黙ったままなので何か不備でもあったのかと不安になって声を掛けようとしたら、代わりに隣に居たジャンさんが口を開いた。
「どうだ? ブレオ。随分と考えているようだが」
「いや、やっぱ優香のまとめた記録用紙は分かり易いと思ってな。さっき測定した記録だってほら、もう集計されてるし」
「へえ、やるじゃん。優香」
ちょうどトレーニングが終わったばかりのアンドレさんは、上から記録用紙を覗き込んで感心したように言う。
あのユニコーンのメンバーから仕事を褒められた嬉しさで心がいっぱいになり、私はつい口元が緩む。
「ありがとうございます。皆さんのお役に立てるのなら、喜んでまた作りますよ」
「ああ、頼むぜ」
「次の測定の時も頼んだぞ」
ニッと眩しいほどの笑顔を浮かべるアンドレさんとブレオさん。
この二人の笑顔を見ていると、ハードな仕事の疲れも吹っ飛ぶ気さえした。
「それはそうと、優香……昨日は夜まで仕事をしていたようだが大丈夫なのか?」
突然ジャンさんが記録用紙から私に視線を向けて訊いてきた。
ジャンさんは滅多に笑わないけど、その分大人の男って感じがして、ジャンさんに見つめられると妙に緊張してしまう。
「あっ、はい、確かに昨日は夜まで仕事をしておりました。残業があったので」
「無茶をする……」
「これが私の仕事ですから。それに皆さんのためだったら、残業だろうが何だろうがへっちゃらです!」
ニッコリと笑って私は元気いっぱいに答えてみせた。
……実を言うと、この所は残業が多くてちょっと疲れていたりするんだけど、ユニコーンの皆さんには心配を掛ける訳もいかないので、調子が良い振りをしておいた。
まあ、チームユニコーンの為だったら残業くらい平気なのは事実だし、仲間のために頑張る彼らの姿を見ていれば元気だって湧いてくる。
「だからと言って夜遅くに女が一人で帰るのは感心しないな。もし夜道で襲われたらどうするんだ?」
「それは……え、えっと……」
「この町はセキュリティに守られてるからといって安心するな」
「はい……」
ジャンさんの言っていることは正しいので、返す言葉もなく私は素直に返事をした。
確かにセキリュティなんていざという時に限って当てにならない場合だってある。
(でも、今月中には仕上げなきゃいけない仕事も沢山残っているし、どうしても夜遅くまで残らないといけないから困ったな……)
私が弱っていると、突如ジャンさんが耳を疑うようなことを切り出したのだった。